「うちの会社はフラットだから」が真っ赤なウソである決定的な理由とは?
そう語るのは、これまで4300社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「うちの会社はフラットだから」が真っ赤なウソである決定的な理由とは?Photo: Adobe Stock

「フラット」という建前

 自分の会社の特徴を語るとき、次のようなことがよく言われます。

「社長から新入社員まで、フラットに話せる職場です」
「誰が偉いとかなく、平等でいい会社です」

 そのようなことを、あなた自身も言っているのではないでしょうか。

 これは、たしかに、会社ですれ違うときに、少し話をしたり、雑談をするレベルのことを言っているのでしょう。

 それは、建前上、人間なら誰しも当たり前にやっていることです。
 同じエレベーターに居合わせて、顔を知っているのに何の会話もしないほうが、むしろ不自然ですから。

ピラミッド組織を再評価しよう

 では、あなたが働いている組織は、どのような構造をしているでしょうか。

 全社員が同じ立場で、同じ給料で、同じ作業をしている?
 いえ、おそらく違うでしょう。

 経営者をトップとし、役員が数人いて、各部署に部長がいて、課長や係長などの中間管理職がいて、一般社員がそれぞれに付いている。

 そんな「ピラミッド構造」がほとんどでしょう。

 いくらフラットな組織だと言っても、社長と役員による経営会議に、新入社員が入って意見を言うことは求められていないでしょう。
 つまり、フラットが建前で、本音はピラミッドなのです。

ピラミッドに合わせて役割を果たそう

 それなのに、「ピラミッド」という言葉に嫌悪感を抱く人が多くいます。

 たしかに、時代が変わり、立ち行かなくなっている日本の大企業を見ていると、ピラミッド組織に問題があるように感じるかもしれません。
 しかし、それは誤解です

 ピラミッドには、ピラミッドになるだけのメリットがあります。
 組織の成長スピードを考えたとき、「ピラミッド構造が最適であり、最速である」と考られるから、そうなっています。

 管理職やリーダーなしで組織運営をする「ティール組織」の考え方に賛同するのであれば、まったくゼロから会社を創り、その概念を取り入れるしかありません。
 まあ、それでも、うまくいく可能性は低いと思いますが。

 形はピラミッドなのに、個人の考え方はティールのように平等な人たち。
 そんな中途半端な「いいとこどり」はできないのです。
 すでに出来上がった会社組織にいる人は、ピラミッド組織に適したマネジメント法を実践しなくてはなりません。 

 とはいえ、与えられた役割を果たすだけですから。そんなに難しいことではないのです。

(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年7月現在、約4300社の導入実績がある。主な著書にシリーズ累計140万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(いずれもダイヤモンド社)がある。