理由2:オペレーションが簡単という商品特性
ドーナツはチェーン店舗で展開しやすい!

 顧客ニーズの観点から「うどーなつ」がフィットするという話をしましたが、実はドーナツは店舗オペレーションの面でも有利な点があります。

 というのも、ドーナツという商品は実はチェーンオペレーションに向いているのです。理由は味の違いを生み出すレシピの部分さえ確立できれば、店頭での製造はそれほど熟練を必要とはしないのです。

 これを裏付ける話があります。アメリカの西海岸にはたくさんのドーナツ店があります。東海岸から進出した大手ドーナツチェーンもたくさんあるのですが、実は地場系のドーナツ店がたくさんあるのが西海岸の特徴です。

 そしてもうひとつの特徴は、それらのお店の多くはカンボジア人が経営しているのです。その歴史はポルポト政権によるカンボジアの弾圧に始まります。

 この弾圧を逃れてアメリカに難民として渡ってきたカンボジア人の中にテッド・ノイさんがいました。彼はアメリカでドーナツチェーンのフランチャイジーのビジネスを始め、そこでドーナツビジネスを学びます。

 その後、独自のドーナツ店を始めたノイさんは、後からカンボジアを脱出した親族や友人などにつぎつぎとドーナツ店を開業するように手助けをします。

 朝早く起きて真面目にドウを練り、勤勉にドーナツを揚げていく仕事は、家族経営としては大変な仕事ですが、新天地にわたってきた移民にとっては自力で生計を立てやすい良い仕事だったのです。

 ノイさんの人生については『ドーナツキング』というドキュメンタリー映画にもなっているので、ご興味のある方は動画配信などでご覧になるといいかもしれません。

 本筋の話に戻ると、ドーナツという製品はレシピさえ完成すれば、あとは勤勉さで作ることができる食品なのです。

 丸亀製麺のプレスリリースによれば「うどーなつ」については構想3年、うどんを材料に配合量や生地を寝かせる時間について試行錯誤を重ね、独特のもっちもち食感を生み出したといいます。

 こだわりが強いこの商品ですが、苦労が必要なのはこの開発段階までで、一度レシピが確立すれば、どのお店でも丁寧に作れば同じ味が再現できる。つまりドーナツは丸亀製麺のチェーンオペレーションにとても向いていたのです。