筋力が低下するのは、筋萎縮(筋肉の量が減ること)が原因です。実は年をとると、誰でも全身の筋肉量が減ってきます。
筋肉量のピークは、ほとんどの人では20~30歳頃であり、その後はだんだん減っていくことがわかっています。
ただ筋萎縮やそれにともなう筋力の落ち方には個人差があります。筋力が落ちていくスピードは人によって異なるのです。
筋力は筋肉に負荷をかけることで維持されるので、筋肉を使わない人ほど筋力低下が早く進みます。
とくに高齢者では、筋肉を積極的に使わない生活が少し続いただけで、ガクンと筋力が落ちてくることも珍しくありません。
普段の食事も筋力低下の発生に関わります。筋肉を増やすための栄養をとらない人は、しっかりとっている人と比べると、明らかに筋力低下が早く進みます。
寝たきりの原因
2つ目は認知症
認知症は脳の病気で、運動機能に直接影響をおよぼす病気ではありません。そのため、寝たきりと一見関係がないように思っている人が多いのではないかと思います。
しかし実際には、認知症から寝たきりになる人はとても多いのです。
なぜなら認知症になると、体を動かさなくなるからです。
体を動かさない生活は筋力低下をまねき、やがて寝たきりになっていくというわけです。
ではどうして認知症になると、体を動かさなくなるのでしょうか。
認知機能の低下によって起こる症状の1つに、「意欲の低下」があります。いろんなことに対し、やる気が起こらなくなる症状です。
こうなると「健康のために散歩しよう」といった意欲もなくなるので、家にこもりがちになります。
家の中でもあまり動かないので、筋力低下やそれによる歩行機能の低下が起こり、やがて寝たきりになってしまうのです。
逆にいうと、認知症になっても、介護する人が手伝って毎日歩かせるようにすれば、そう簡単には寝たきりになりません。
認知症になってしまうと、多くの場合では、本人の意思で運動することはできなくなってしまいます。
認知機能の低下はゆっくり進行します。ですから、早めに認知機能の低下に気付くことが大事です。