テレビに出ている有名人の名前がパッと出てこなくなるのは、高齢になると誰にでも起こることなので、あまり気にしなくてよいという人がいます。

 でも私はこのあたりから認知機能の低下が始まっていると考えています。まだ黄信号とはいえますが、その段階で何らかの対策を講じることが重要です。

 その次は、昨日自分が食べたものや、会った人の名前が思い出せなくなるといった段階です。自分が最近経験したことが思い出せなくなっているわけですから、これはもう赤信号です。

 筋力低下と同じで、年をとると誰でも多かれ少なかれ認知機能が低下します。

 しかしこれも個人差があります。頭をよく使う(脳に刺激を与える)生活をしている人は、認知機能の低下を遅らせることができる可能性があります。

寝たきりの原因
3つ目は骨粗しょう症

 骨粗しょう症というのは、年齢とともに骨がもろくなることです。そして骨粗しょう症になると、骨折のリスクが高くなります。

 実は骨折から寝たきりになる人も多いのです。骨折したことによって活動量が低下し、あまり歩かない生活をしていると、筋力低下が急激に進みます。そこから寝たきりになっていくのは珍しいことではありません。

 筋肉や脳(認知機能)と同様、骨も年をとると弱くなります。とくに女性のほうが骨は弱りやすいことがわかっています。

 ところが骨折さえ起きていなければ、骨粗しょう症があってもほとんどの場合、とくに不自由なく日常生活を送ることができます。

 骨粗しょう症は骨折が起こるまでは無症状であることがほとんどなので、骨粗しょう症の進行を自分で気づくことはとても困難です。筋力低下なら階段を上るのがキツくなったとか、認知症なら昨日何を食べたか思い出せないとか、何らかの自覚症状があるのですが、骨粗しょう症にはそういった自覚症状がありません。病院で骨粗しょう症の検査をしていないと、骨が折れるまで気がつかないのです。

 病院の検査というのは、骨密度測定のことです。この検査を定期的に受けていれば、骨粗しょう症に早く気付くことができます。