もし会社を辞めても
相談者の年収は3割下がる
もちろん、今のビジネス界では、40代で転職することも可能です。ただ、私が見てきた人たちのケースでは、派閥抗争で敗れた側の人がやむなく外に出たとき、年収は前職の7割程度まで減少します。
労働強度が同じであれば、年収は3割下がる。仮に年収が同じだったとしても、労働強度は3割上がる。今の待遇や働き方を維持するのはなかなか難しいはずです。
ですから、今後の方向性としては2つ。「外様大名」として出世が遅れるのを覚悟した上で、現職で努力する。もしくは、年収ダウンを覚悟した上で、外に出てもう一度勝負する。このどちらかを選ばなければなりません。
とはいえ、もし後者を選んで社外に飛び出したとしても、転職先に派閥が全くないとは限りません。人間は群れをつくる生き物です。それは他の昆虫や動物たちと同じ。ハチやアリ、魚のニシン、砂漠に住むハダカデバネズミだって群れをつくります。
会社や役所に勤めている人は、大きな意味では何らかの群れ(=派閥)に所属することを避けられません。会社員で「完全な無派閥」の人は、よっぽどの変わり者か、能力がなくてどの派閥にも入れてもらえない人です。
ただし、群れに分かれて働く中で、特定の派閥にとっては合理的な仕事の進め方が、組織全体にとってはマイナスに作用することがある。それで派閥同士の問題が起きるのです。
そうなりにくい「良い派閥」に入れるかは、巡り合わせの要素が大きいのが現実です。良い派閥は職能的であり、参加に当たっては「職務を遂行する能力」が問われます。能力が高い人が引っ張り上げられるわけですから、「入れてください」と頼み込んだ結果ではなく、自然と声がかかって参加する形が望ましいでしょう。
一方で、あまり良くない派閥は「学閥」です。同じ大学の出身者で群れを成して、飲み会で校歌を歌ったりする例がよく見られますが、社内のトップ層は仕事の業績にしか興味がないはずです。職能とは無関係の「学歴」によって派閥が形成されているなら、相当に停滞した会社だと思われます。転職先を選ぶ際には要注意です。