「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回はダイエットに役立つ自力整体をお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】痩せられない人は「水毒」かも? 健康的にスリムになる「4つの方法」

「水」をため込みすぎている人は痩せられない?

――真夏直前、ダイエット中の方も多いと思います。東洋医学の視点から、効率的なダイエットについてアドバイスをお願いします。

矢上真理恵(以下、矢上):真夏直前の湿気の多い7月中旬は、体に水分がこもりやすい時期です。

水が体にたまりすぎて悪さをすることを、東洋医学では「水毒」と呼んでいます。
この水毒が怖いのは、「冷え」を呼ぶということ。放置しておくと血行不良やリンパの流れが悪くなり、代謝力や排泄力が低下
いくらダイエットに励んでも、痩せにくいというわけです。

ですから、日ごろから「水はけのいい体」に整えておくと、ダイエット効果は出やすいと思います。

また水毒症の方は、体にも様々な不調が現れているはずです。
わかりやすいのは、眼球のむくみによる視力低下、耳に湿気がたまることでおこるめまい・ふらつき、ほかにも鼻炎、口内炎、歯茎の炎症、気管支喘息、腰痛、坐骨神経痛、ひざの痛み、足の裏が痛くなる足底筋膜炎など。

「水毒」を解消して健康的にスリムになる「4つの方法」

矢上:「水毒」を解消して健康的にスリムになる4つの方法を紹介しましょう。
冷え・むくみを改善し、代謝力・排泄力アップに役立ちます。

1 水を必要以上にとりすぎない
「一日に2リットル水を飲みなさい」といったダイエット法があります。これは東洋医学の視点で見ると「水毒づくり」です。体内の塩分濃度も薄くなり、体に負担をかけ代謝も落ちます。水毒症状の自覚症状のある方は、過剰な水分摂取は控えめに。

2 フルーツ・精白した炭水化物(白米・白パン・白砂糖)は食べすぎない
朝からたっぷりフルーツを食べるダイエット法もありますが、体を冷やしやすく水毒体質になりやすいので控えめに。精白した炭水化物(白米・白パン・白砂糖)も水をつくりやすいので、なるべく玄米や全粒粉のパン・黒砂糖など精白していないものを選びましょう。

3 一日一回、下半身の筋肉をつかう運動を取り入れる
下半身の筋肉をよく動かしましょう。筋肉へ瞬間的にぐっ! と力を入れるワークがオススメです。急激な筋肉刺激により、停滞していた水が、せきを切ったように流れはじめます。運動以外でも、床ふき、窓ふきなど、ふくらはぎを使う屈伸運動をおこなうそうじもおすすめです。

4 湯船につかりたっぷり汗を流し、寝る前に「自力整体」をおこなう
「水毒」をしっかり改善するには、できればシャワーではなく湯船につかり、たっぷり汗を流すと代謝はよくなります。可能なら少しの塩を入れてもよいでしょう。発汗を促します。しっかり水分補給も忘れずに。そして寝る前、「自力整体」で足先をほぐしましょう(※ワークは後半で紹介)。熟睡できて、翌朝の排泄も良くなります。

――矢上さんの書籍『すぐできる自力整体』から、水毒の改善に役立つワークをご紹介ください。

矢上:「足先ほぐし」のワークを紹介しましょう。6本の経絡(「気」が流れる川のようなもの)が通る足先を刺激して、水分の滞りをいっきに解消します。

【整体プロが指南】痩せられない人は「水毒」かも? 健康的にスリムになる「4つの方法」矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗