もしも家に3億人の“諭吉”がいたら?
眠っていた“旧一万円札”が大移動するかも

 では、福沢諭吉さんがタンスの奥に3億円ほど眠っているお宅の場合はどうでしょうか?

 これは笑いごとではなくて、実際に世の中にありそうです。

 相続税の最高税率は55%ですから、銀行に預けずにタンスにしまい込んでおいて税金から逃れようと考える人がいるからです。これをあぶり出すのが冒頭でお話しした新紙幣発行の副次的な効果です。

 以前、私の父が亡くなったときに経験したのですが、相続税の申告書を作る際には税理士さんが父だけでなく相続する私を含めた親族の預金通帳をしっかりと5年分調べます。

 ですから預金を引き出してタンス預金にしようとしても、結構簡単にアシがつきそうです。

 そう考えればタンス預金に向いた資金源は「裏金」です。裏金というとまっさきにあのひとたちを頭に思い浮かべてしまいますが、それ以外で言えば現金商売をしているひとたちも税務署から見れば現金を隠しやすいひとたちだそうです。

 というわけでこっそり家の中に隠してきた福沢諭吉が、今回の新紙幣でぞろぞろと太陽の下に出てきそうだということが話題なのです。

 さて、もし読者の皆さんの近しい方の中にタンス預金で困っている人がいるといった場合に、ぜひアドバイスしてほしいことがあります。

「タンス預金の時代はもう終わりだよ」ということです。