小雁塔とセットで西安博物院を鑑賞
永寧門から南へおよそ1.5km、薦福寺に隣接する敷地に西安博物院があります。
まずは、東西に走る薦福寺呂にある寺の山門から入場しましょう。こちら、うれしい入場無料ですが、山門左の窓口で手続きが必要です。パスポートを忘れずに!
薦福寺は、唐の時代に建立されたときには大献福寺といい、追って武則天(則天武后)が大薦福寺と改称したとのこと。山門から入って左に出ると西安博物院ですが、せっかくですので寺の敷地の奥へ足を運んで、西暦707~710年頃に建てられたと記録される小雁塔を見学していきましょう。
唐代の密檐式磚塔(各階の軒が狭く造られたレンガ製の塔)の代表的なもので、オリジナルは15層でしたが、明代の地震で上の2層が失われました。今建っているのは1965年に改修されたもので、塔頂部は失われたままの13層、高さは約43mです。
小雁塔から戻ってくると、右手側が博物院エリアになります。周囲を公園に囲まれ、西安市未来10大ランドマークにも選定されているモダンな建物は、中国工程院の張錦秋氏による設計。張氏はここのほかに陝西歴史博物館や華清池御湯博物館なども手がけているそうです。
地下1階、地上2階の館内には文化財が13万点収蔵され、そのなかに国家三級以上の貴重な文化財が1万4000点以上含まれています。ロビーの床には、この地に都が勃興してから今までの間、どの場所にどの時代の都が築かれていたかひと目でわかる地図が広がっています。
常設展の「古都西安」は、「千年古都」「帝都万象」「府城華章」の三部で構成され、1000点を超える文物や遺物で、古都の歴史を紹介しています。
唐代の長安を精密なジオラマ模型で再現したコーナーは、城壁へ行く前に見ても行ったあとに見ても、それぞれ気づかされることがあるでしょう。3000年にわたる都市の歴史を軸に構成された展示は、陝西省博物館に比べるとこぢんまりしていると評されることもありますが、内容が濃いのに比較的ゆったりと鑑賞できるという点で穴場とも言えます。
展示物のなかで最も有名な唐代の「三彩騰空馬」は、ぜひ現地を訪れてご自身でご覧ください!
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時代ごとの都を図面で紹介するコーナーで、興味深いことがありました。ガイドさんが長安の図を指して、都の東西にそれぞれ大きな市場があることを示したうえで、こうおっしゃったのです。
「中国語の『買い物をする』という言い方は、この東や西の市場で買い物をしたことから来ています」
中国語で「買い物をする」は「买东西」と言います。「买」が動詞で「買う」、「东(東)西」は名詞で「物」を意味しています。発音は「マイトンシ(mai3 dong1 xi)」。「東市と西市で物を買う」がいつの頃からか「東西を買う」→「物を買う」に転じたという説で、「東西」が「物」の語源となった経緯を中国人のなかにも初めて知った方がいらっしゃり、長安の図の前にして感嘆と納得の声が上がっていました。
博物館はどこも広くて展示物が多いので、見たいものを見逃さないよう予習しておいたり、専門のガイドさんや展示物に詳しい人と一緒に行ったりするのがおすすめです。
所在地:西安市友誼西路72号
入館料:無料
開館時間:3月15日~10月31日=8:30~18:00(入館は17:00まで) 11月1日~3月14日=9:00~17:30(入館は16:30まで)
URL:https://www.xabwy.com/