西安の城壁に登ろう
さあ、西安市内の中心部を囲む城壁の南門へとやってきました。
西安は、かつて「長安」と呼ばれた古都。古くは紀元前の周の時代から都の萌芽が見られる土地に、前漢の時代に長安として都がおかれ、日本史でも馴染み深い隋や唐の時代を経て、明の時代に「西安」と名を変えて今にいたります。
奈良の平城京や京都の平安京が都を造るにあたって大きな影響を受けたこの街を囲む城壁は、今なお当時の姿を残し、しかも東西南北の全周およそ14kmをきれいに囲んだまま保持されている貴重な建造物です。唐の時代の構造物を基礎にして、明の時代に改築された姿が今に残るとされています。西安を訪れたら、何をさておいてもまず登りたい場所と申せましょう。
城壁には東に長楽門、西に安定門、北に安遠門、南に永寧門という大きな門があり、さらに登城できるいくつかの小さな門があります。正面は南門である永寧門。これは仏教の伝来に関連があるとされ、南に位置するインドから伝わってきたために、南が「正面玄関」になるという考えだとのこと。
永寧門では、向かって左手に切符売り場と登城口があります。ところが、登城口を通る人の数のわりには、切符売り場は混んでいませんでした。
国内の観光客の方々は、WeChatを用いて事前に(その場でも)切符を買うことができます。ここに来る前にすっかり手続きを済ませていて、手元の携帯端末で切符購入済みの二次元コードを表示すると、登城口のスキャンにかざしてどんどん入っていきます。
この方法を試してみたい方のために、購入用の二次元コードと、詳しい手順を示したパネルが切符売り場の横にありました。同様の仕組みが市内各所の観光地に導入されています。個人で訪れた方はぜひ挑戦してみましょう。
ここに限らず、いずれの観光地を訪れるにあたっても重要なことをひとつだけ。それはパスポートの携帯です。
中国の観光地では、国内外からの観光客すべてに対して、入場時の身分証明書提示を課すところがほとんどです。かつての海外旅行では「パスポートはホテルの金庫にしまっておいて、コピーを持ち歩く」という手法が有効だったこともありますが、今の中国では原本が必要です。出かけるときはお忘れなく!
濠に濠に架かる小さな橋を渡って永寧門をくぐると、最初のフォトスポットが。足元に「ここから撮るといいよ」という足形の印が示してありますので、早速試してみましょう。カメラの画角によりますが、おおむね画像右下のような写真になります。
この建物は永寧門瓮城で、公式ウェブサイトには内側から撮った写真は載っていますが、外側になるこのアングルからの写真は載っていません。ご覧のとおり、入場してテンションの上がっているときには張り切って撮るものの、落ち着いてあとから眺めるとこれなんだったっけと思わせる、ふわっとしたフォトスポットです。この先の練習のつもりで押さえておくといいでしょう。
寧門瓮城の内側に回り、内庭を通って石段を登ると、いよいよ高さ12mの眺望が広がる城壁の上へ。城壁は底辺が18m、上辺が15mで、高さより幅のほうが広く造られています。登って歩いているときにはあまり感じませんでしたが、あとから写真(画像左上)を見ると、内側に向かって微妙に傾斜しているようです。
登ってすぐ左にある建物の下には、関中書院という明代の1609年に建てられた建物の模型と説明文があります。突然「プロ」によるコスプレの武者たちが通り過ぎることもあり(画像右)、古の雰囲気を盛り上げてくれます。
一周14kmを徒歩で回ろうとすると、気力体力の充実と潤沢な時間が必要です。そこで便利なのがレンタサイクル。城壁の上だけを走ることのできるサービスがあると聞いて「自行車服務処 BICYCLE SERVICE」を探したのですが、残念ながら永寧門の上で見つけることはできませんでした。西安城墻の公式ウェブサイト「観光サービス」の項には案内がありますが、この日は自転車で走っている観光客をひとりも見かけなかったこともあり、もしかしたら一時的に営業していなかったのかもしれません。次回に期待です。
城壁の内側には古い建物が残り(画像左下)、一部はバーやカフェ、民宿などに転用されています。日程に余裕があればこのあたりに投宿して、レンタサイクルで城壁一周や、夜の城壁なども堪能したいところです。
入場料:大人54元 ※6歳以下または身長120cm以下の児童、65歳以上は無料。子供と大学生は半額
開場時間:8:00~20:00(永寧門、建国門、中山門は~22:00)
URL:https://www.xacitywall.com/ ※日本語ページあり