簡単にまとめると、「幸せになりたい。でも、自分ではできないこともあって困っている。だから、お金を払うので誰か解決してください」ということです。自分が払うお金よりも、得られる幸せのほうが大きそうだと分かれば、人は買うのです。これが、「人はなぜ買うのか?」の答えです。

売れる技術(5):誰かの「困った!」を解決する

お客様は「自分の気持ち」を知らない

 お客様は「困っている」という話をしましたが、実はお客様には2種類あります。この違いを理解していないと、売上を上げていくことが難しいので、じっくりお伝えしますね。

 まず、両者の違いを理解していただくために、簡単な質問をします。あなたの答えを書き出してみてください。

――Q.砂漠を旅する人向けのお店を開くことになりました。もう何を扱えば、儲(もう)かると思いますか?

 この質問は、今まで、研修や講演などでも多くの人に投げかけてきました。みんなからあげてもらった答えを、僕のほうで、AとBの二つのグループに分けてみたのですが、何を基準に分けたと思いますか?

・Aグループの答え……水、ラクダ、地図、方位磁石、食料、洋服、車、簡易トイレ
・Bグループの答え……スーツ、毛布、保険、「砂漠の楽しみ方」という本、インスタ映えポイントの紹介、砂漠ダイエット教室

 完全に僕の主観なのですが、Aグループは「言われなくても、買おう!と気づいていたもの」。Bグループは「言われてみれば、たしかにいいな!と気づいたもの」です。

 砂漠に行くときにスーツなんて、僕は思いつきませんでした。でも、この答えを教えてくれた人が言うには、砂漠を旅するときにもっとも適した服装がスーツなんだそうです。あるマンガに書いてあったそうです。

 その真偽はさておいて、ここで伝えたいことは、お客様には、自分が必要なものに「気づいている人」と「気づいていない人」がいるということです。

「気づいていない人」に気づいてもらう

 たとえば、僕は「ルイボスティー」が大好きなので、ルイボスティー屋さんを始めたとしましょう。「どうすれば売れるだろうか?」と考えるとき、ルイボスティーの価値に「気づいている人」と「気づいていない人」の2種類のお客様がいて、それぞれ売り方が変わってきます。