信頼関係ができていたら、素直に「たしかにそうだね」と思えるかもしれませんが、多くの場合、「そんなことないよ」と言いたくなるでしょう。つまり、他人から言われるよりも、自分で考えたり話したりするほうが、自分の気持ちに気づき、深く納得できるのです。

 同じように「欲しい」という気持ちも、他人から伝えられるよりも、自分の言葉で話すほうが、自分で自分の気持ちに気づき、納得感が高まります。

 そのためには、「聞く」や「問う」が必要です。「聞く」や「問う」で、相手の「欲しい」を引き出すことをせずに、相手を説得して売っていたのでは、お客様の本当の満足にはつながっていきません。

「聞く」と「問う」は違うんですよね。「聞く」は、相手の話を受け取ること。相手は自分が理解していること、意識していることを話してくれます。話題も相手次第になります。

 そこで、「問う」ができると、もう一歩、踏み込んだ話題になります。「問う」は、価値観や気持ちなど、相手が意識していないことまで引き出すこと。「自分にこんな問題や思いがあったんだ」と気づいてもらうことができます。これが営業や商談においてはとても大切なのです。

「話す」で「欲しい」を育てる

「聞く」と「問う」で相手にたくさん話してもらい、「欲しい」という気持ちを引き出すことができたら、次はこちらが「話す」番です。

「聞く」と「問う」でできることは、相手の気持ちや考えを引き出すこと。しかし、「聞く」と「問う」ではできないこともあるのです。それは、「相手が知らないこと」に気づいてもらうことです。

書影『売らずに売れる技術』(ワン・パブリッシング)『売らずに売れる技術』(ワン・パブリッシング)
河田真誠 著

 どれだけ聞いても、どれだけ問いかけても、「相手が知らないこと」を引き出すことはできません。そこで、こちらから話すことで、

「こういう考えもあるよ」
「こういうものもあるよ」
「こんな未来が待っているよ」

 と伝えることが必要です。

 それによって、相手の「欲しい」という気持ちを大きく育てていくことができます。

 ここまでをまとめると、売れるためにすることは、「聞く」「問う」「話す」で相手と対話をし、相手の「欲しい」を引き出し、大きく育てていくということです。これはとても大切なので、覚えておいてくださいね。

売れる技術(6):「聞く」「問う」「話す」で、お客様の「欲しい」を引き出し、育てる