「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者の森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回は、FIDIAのグループ会社の一つである「イルミルド」から、西澤次長にインタビューを実施。西澤氏は、イルミルド・西俊彦社長の右腕として、設立当初から在籍しているメンバーの一人だ。そんな西澤氏は『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。今回は、「発注者と受注者は対等か否か?」という議論について、西澤氏の考えを聞かせてもらった。(ダイヤモンド社書籍編集局)
コロナ禍で約3年「接待」がなかったけど……
クライアントとはどうなった?
――本書に「取引先との関係をつくる」という項目があります。
この点について、西澤さん自身のエピソードがあればお聞かせください。
西澤:イルミルドのビジネスモデル上、当社は発注する側(クライアント/発注者)の立場がほとんどです。
そこで、取引先である受注者(パートナー)との関係で気をつけている点や、意識していることをお話ししたいと思います。
――よく「発注者と受注者は対等か否か?」という議論がありますが、クライアントとの関係に悩んでいる人に向けてぜひお聞きしたいです。
西澤:パワーバランス的に、仕事を“いただく側”の受注者の立場が劣勢になりがちだけれども、そうではないのでは? という議論ですね。
おそらくその議論は、受注者側が、何か思うところがあって話されているのだと思います。
――はい。「仕事を与えてやっている」と、高圧的な態度に出る企業は存在するそうです。
実際、どうしても発注者が優位に立つと思いますが、西澤さんの実感としてはいかがですか?
例えば接待を受ける機会も多いのではないかと思いますが。
西澤:確かに接待していただくことは多いですし、誘っていただくのはありがたいことです。
仕事以外で同じ時間を共有しながら、面と向かって対話できる場ですから。
本音のコミュニケーションや、より親密な関係性を築くことができるといったメリットがあるでしょう。
しかし、多くの企業がそうであるように、当社も約3年に及んだコロナ禍では会食や接待を控えました。
結果どうなったかというと、関係性が崩れたわけではなかったのです。
まずはその事実をお伝えしたいと思います。
次にお伝えしたいことは、ちょっと個人的な意見になってしまうのですが……、接待を重ねていくと、プライベートな話がメインになってきたりします。
興味を持っていただくことは光栄ですし、担当者同士が仲良くなって、プラスに働くことも多いでしょう。
しかし、個人的にはそのような状態は好ましくありません。
公私の区別がなくなって「なあなあ」の関係に陥ると、ここぞという時にもお互いの言動が軽くなってしまうと思うからです。
「仲良くなること」と「信頼関係を構築できること」は違います。
僕は、ビジネスにおいては距離感や特別感を大切にしたい。
それは発注者側・受注者側の双方にメリットがあることです。
発注者・受発注の間に生まれる利害関係の現実
――具体的な事例や、想定される出来事はありますか?
西澤:例えば、こういうことが考えられます。
仲が良いから、受注者側はついつい無理を聞いてくれるんですね。
あるいは、「なあなあ」の関係に陥ると、断りづらくなってしまうというもの。だけど“無理”な時点で、本当はお互いハッピーじゃないわけです。
やっかいなのは、発注者側が「前回も聞いてくれたから、今回もOKだろう」と軽い気持ちで依頼し続けること。
しかし、実際は我慢してもらっているだけですから、そんな状態が続けば、やがて関係が破綻することは明らか。
そうとは知らない発注者は、ある日突然、受注先を失ってしまうことになるかもしれません。
――では、「発注者と受注者は対等か否か?」という議論について、西澤さんの答えをお聞かせください。
西澤:常にwin-winであるべきで、上下関係はなく対等。パートナーだと考えます。
そもそも、お互いの関係性を「上」と「下」に区別することはおかしいですよね。
発注側も、受注してくれる人がいてこそビジネスが成立しているのですから。
互いにリスペクトを持って仕事をすること。
互いに利益をもたらすように行動すること。
発注者・受注者どちらの立場においても、この2点を忘れずにいたいと思います。