おひとりさまの老後には、現役時代には見えにくい落とし穴がある! それも踏まえた、お金&老後対策は必須です。男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中ですが、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。

おひとりさまが「ひとりで背負っていけないこと」No1Photo: Adobe Stock

独身者にお鉢が回ってくることが多いが…

「親の介護とか世話が必要になったら、どうすればいいのか?」と考えたことはありますか? 「考えるのが面倒。あとでいいや」とあと回しにしていませんか?
でも、独身者の方は特に、親の介護についても早いうちから家族と話し合っておいてほしいと思います。
というのも、親の介護は独身者にお鉢が回ってくることが多いからです。

介護が問題になるのは、健康寿命から考えても大体75歳前後から。子どもたちは、40代以降というパターンが多いと思います。
その世代は、仕事はもちろん、子育てにも忙しい時期。子を持つ家族持ちからすると、独身のきょうだいは「自分のことだけやっていればいい自分たちより気楽な人」に見えたりするものです。また、「子育てにお金がかからないんだから、介護費用は多めに出してほしい」と思われる可能性も大です。

親にとっても独身の子は「使い勝手のいい相手」

今どきは「嫁」に舅や姑の介護を頼むなんて時代でもなくなってきています。こうなると、親から見ても独身の子は「使い勝手のいい相手」となります。結婚している子であれば、その連れ合いにも遠慮がありますが、独身の子にはそんな遠慮はいりません。

また、独身者本人も「私が一番身軽だから、親の面倒くらいはみるか」と思ってしまうマインドに陥る可能性も大。でも、介護は長期戦です。ひとりが引き受けるのではなく家族みんなで向き合わなければいけない問題です。

介護にかかる費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改修や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円、月々の費用が平均8.3万円です。

また、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均61.1ヵ月(5年1ヵ月)、4年を超えて介護した人も約5割という調査結果がでています(生命保険文化センター令和3年度調べ)。

「今は考えたくない」と目をつぶったまま「親の介護」に突入するようなことになれば「とりあえず、独身で動きが取りやすいだろうから、独身者ちゃんいろいろ調べておいて」というところからスタートし、知らないうちに介護の主な担い手になっていた! なんてことになりかねません。

 そうならないためにも、今から親の介護についても、きょうだい間でしっかり話し合い、できる準備はしておいた方がいいと思います。

 *本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。