「あんたが毎日来なくなると…」
頑固オヤジの態度が豹変!

「あんたが毎日来なくなると寂しいなぁ。本音を言えば、あんたのところの品は結構売れはするが、他よりも卸値は高いし、やっていることも他とさほど違いがある訳じゃない。でも、商売はそんなことで良し悪しが決まるものじゃない。大事なのはいろいろな条件をくれたりすることよりも、お店の商売のことを一緒に考えてくれて、それをやってくれることだ。あんたが毎朝来てくれる。そのことが一番なんだ」
思いもよらない店主の言葉に、嬉しいというよりも驚きが勝り、茫然と立ったままでした。そう言えばここ数カ月は値段がどうだとか、条件はどうしたといった話はまったくありませんでした。
正直に言えば、そこまで考えてやっていた訳ではありません。小さな困りごとをなんとかできればと思っただけです。それも「朝、自販機の蛍光灯のスイッチを切る」だけのことです。
「他よりも安い金額と他よりも良い条件。これだけで仕事をするならば営業担当はいらない」
営業はよくこんなふうに言われますが、ではどんなことをすれば良いのかは誰も教えてくれません。今回のことはその回答の一部でしかないのかもしれませんが、取引先が営業に対して本当に求めているものは「他よりも良い取引条件」だけではないことを教えてくれたように思います。