総予測2024#42Photo:huzu1959/gettyimages

総合商社は2023年、資源価格高騰を背景に過去最高益をたたき出した。24年はなお高水準の収益を見込むが、地政学リスクや世界経済の先行きなど不安要素は多い。次のステージへ上がるには資源に振り回されない強固なポートフォリオの構築が急がれる。特集『総予測2024』の本稿では、三菱商事、伊藤忠、三井物産の社長の言質を基にDX(デジタルトランスフォーメーション)、EX(エネルギートランスフォーメーション)の仕掛けどころ、さらに商社ビジネスの不安材料に迫る。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)

資源高によるバブルが終焉したとき
各商社の実力が明らかになる

 24年3月期の連結純利益予想は、七大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日)で計4兆0550億円に上る。各社が過去最高益をマークした23年3月期実績は計4兆6151億円だった。最高益の要因だった資源価格が落ち着きを見せ、約5600億円の減益になったとはいえ、絶好調からの「反動」の範囲内といえる。

 商社の株価も好調な業績に追随してきた。「投資の神様」である著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイが総合商社5社の株式を取得したのは20年8月末。23年4月にはバフェット氏が来日し、投資先の商社トップと会談した後、各社の株式を買い増した。

 こうした海外投資家からの引き合いが商社の株価を押し上げた。23年初に4214円でスタートした三菱商事は9月には一時7000円台後半まで跳ね上がり、12月に入っても6900円付近を維持している。三井物産、伊藤忠商事も年初と比べて2000円以上値上がりする場面があった。

 ただ、商社の株価は資源高の追い風を多分に受けており、株高を喜んでばかりもいられない。資源高によるバブルが終焉したとき、各社の実力は明らかになる。

次のステージへ上がるには資源に振り回されない強固なポートフォリオの構築が急がれる。次ページでは、三菱商事、伊藤忠、三井物産の社長の言質を基に、DX(デジタルトランスフォーメーション)、EX(エネルギートランスフォーメーション)の仕掛けどころ、さらに商社ビジネスの不安材料に迫る。