「スポーツを最前列で応援する楽しみに近い」――近い場所で挑戦を応援できる充実感

 株主として近い距離感で中長期的にファンとして楽しめる点も魅力です。音楽で例えると、地下アイドルを発掘して応援する楽しみや、インディーズのバンドの初期のファンとして、メジャーデビューできると見込んで応援している感覚に近いかもしれません。「みんながまだ目をつけていない分野に自分は目をつけたぞ。実は、あの会社の黎明期を支えたのは私なんだ」と言えるのも、株式投資型クラウドファンディングの面白さの一つです。

 以前私が対談させていただいた個人投資家に、80社超の会社にエンジェル投資を行ってきた坂本達夫さんという方がいます。坂本さんは、「エンジェル投資はスポーツの応援に近い感覚」と述べています。例えばスポーツの試合では勝つか負けるかの単純化した確率では、50%の割合で負けることはわかっているのですが、そのチームと時間や空間を共有するために、わざわざお金を払って応援しにいくわけです。勝負の結果に関わらず、現場で最前列で応援することに醍醐味があるとのことです。

 自分が見込んだ会社のストーリーに投資し、その挑戦を中長期的に応援し、社会を変える大きなインパクトの最初のきっかけになれること。これは、まさしくエンジェル投資の魅力であると思います。

ハイリスクではあるが大きなリターンが期待できる

 エンジェル投資の魅力は、成功すれば大きなリターンを期待できる可能性があることです。

 2018年に大型上場を果たしたフリマアプリ運営のメルカリは、2013年の創業から5年間で上場までに累計170億円以上を調達し、国内では異例の速さでユニコーン企業となったスタートアップです。 IPOの終値ベースでの時価総額は7000億円に到達、仮に創業時に100万円を投資していた場合、株式上場時に初値ベースで約100億円の評価額になったことになります。

 世の中には銀行預金のような確定利回り商品をはじめ、不動産投資、投資信託など、さまざまな資産運用の手段があります。しかし、どの投資も年率数%が基本で、このような「ホームラン級」の運用益がもたらされるケースはまずないと言ってよいでしょう。イークラウドの投資家に「宝くじの1等が当たる確率は1000万分の1程度とされていますが、エンジェル投資は(それよりは成功確率が高いという意味で)打率の高い宝くじのようなイメージで考えています」と話していた方がいました。エンジェル投資はまさに、リターンの規模としては宝くじと似たようなところがあります。