株式投資型クラウドファンディングは、初心者にはオススメしない?

 以上のように、株式投資型クラウドファンディングで取得する非上場株式は魅力的な投資商品であるものの、あくまでもハイリスク、かつ一度投資してしまうと換金が難しい投資商品であることをご理解のうえで、エンジェル投資に臨んでいただきたいと思います。

 株式投資型クラウドファンディングは「これまで投資を行ったことがない」という方にはおすすめしておらず、ある程度の金融資産・投資経験をお持ちの方のためのサービスとして位置づけています。また、イークラウドでは自主的なルールとして、20歳以上75歳未満で、株式投資やFXなど比較的リスクの大きな金融商品への投資経験があり、金融資産が300万円以上の方にのみ、投資家登録を受け付けています。

スタートアップから見た株式投資型クラウドファンディング

 さて、ここまで個人投資家の視点での株式投資型クラウドファンディングの魅力とリスクを説明してきました。一方で、投資家の皆様から「スタートアップ側は何を期待して株式投資型クラウドファンディングを行うのか」と質問されることがあります。

 では、少し視点を変えて、スタートアップから見た株式投資型クラウドファンディングについて解説します。

株式投資型クラウドファンディングで、資金調達の選択肢が増える

 株式投資型クラウドファンディングの一つのメリットに、資金調達の選択肢が増えるという点があります。起業家の資金調達手段には2種類あります。一つは返済義務のある借入金、もうひとつは返済義務がない株式を発行して得る資金です。

スタートアップが銀行融資だけでJカーブ(※)を乗り切るのは難しい

 日本では「資金調達といえば銀行融資」というイメージが根付いていますが、この20年で日本のスタートアップを取り巻く資金調達環境は大きく変わり、その方法も多様化しています。

 そもそも一般的に、売上が立たず実績もない創業直後のスタートアップが、民間の銀行から融資を受けるのは非常に困難です。銀行の融資資金の出どころは銀行にお金を預けている一般の預金者であり、基本的にはビジネスの軌道に乗る前のスタートアップに融資することによる貸し倒れリスクの上昇は許容されにくいものです。

※Jカーブ:スタートアップの成長プロセスを示す曲線。事業開始後の数年間は赤字であるものの、その後に短期間で急成長を果たして黒字転換し累積損失を回収するパターンを示す。