11位以下の高校で
今年注目したいのは?
ベスト3に移る前に、11位以下を見てみよう。
11位は県岐阜商(39勝29敗)。戦前に優勝4回(春3回、夏1回)、準優勝2回(春1回、夏1回))している名門。早稲田実と同様、昭和の終わりから平成初めにかてけ低迷した時期もあったが、2009年夏には45年振りに準決勝に進出して強豪校として復活した。
長くベスト10に入っていたものの、他校の追い上げで陥落。2018年に名将鍛治舎巧監督を迎えて再びベスト10入りを目指している。
12位も古豪の高知商(38勝23敗)。古豪とはいいながら、実は戦前は1回も甲子園に出場したことはない。戦後すぐから昭和後半にかけての名門で、引退した藤川球児など、昭和末から平成初めにかけては公立高校ながら次々と好投手を擁して活躍した。しばらく甲子園から遠ざかったのち、2018年に12年振りに甲子園に復活して2勝をあげてなんとかベスト10を維持していたが、こちらも陥落した。
そして、この下に現在の強豪校が並んでいる。13位に明徳義塾高、横浜高(いずれも37勝)、15位に広陵高(35勝)と続き、その下には日大三高(29勝)、東北高、智弁学園高、常総学院高、報徳学園高(いずれも28勝)、作新学院高(27勝)、八戸学院光星高(26勝)、高松商(25勝)、星稜高、聖光学院高(いずれも24勝)などがひしめいている。
今年も、このうち明徳義塾高、広陵高、智弁学園高、報徳学園高、聖光学院高の5校が出場しており、毎年順位が入れ替わる。
甲子園大会は歴史が長いこともあって通算成績でランキングすると、どうしても名門・古豪といわれる学校が上位に入ってくる。
16位の桐蔭高は、旧制和歌山中学校。戦前を代表する強豪で、1915年の第1回大会から1928年の第14回大会まで実に14年連続して出場した(うち1918年の第4回大会は中止)。しかし、1961年の準優勝を最後に低迷、夏は1986年に出場したのが最後(初戦敗退)。春は2015年に21世紀枠で出場している。
43位には昨年107年振りに全国制覇した慶応高が入っている。夏に2回優勝、準優勝も1回あるが、通算勝利は15勝。昭和後半から平成前半にかけて全く出場できなかったため通算成績は上位に入れない。今年も県大会5回戦で敗退した。因みに、戦前から戦後すぐにかけては、慶応高校の前身である慶応普通部とは別に慶応商工(戦後は慶応二高)という学校もあった。現在は消滅しており、その通算成績は1勝4敗である。
57位小倉高(旧小倉中・小倉北高)、74位桐生高(旧桐生中)、87位市岡高(旧市岡中)・呉港高(旧大正中・呉港中)といったあたりは、見たことがない人も多いだろう。
極めつけは74位の大連商。戦前は日本国内だけではなく、外地といわれた満州・朝鮮・台湾の代表も甲子園に参加した。満州の強豪として知られた大連商は1921年から1934年の間に12回出場し、1926年には準優勝するなど通算12勝をあげている。戦後はもちろん地方大会に参加することもなく、勝ち星をあげることはできない。
一方歴史が浅いにもかかわらず健闘しているのが、26位八戸学院光星高(旧光星学院高)、29位聖光学院高、74位済美高といったあたり。とくに聖光学院高は2004年以降の20回の大会のうち実に18回出場、この間、2007年から2019年までの13年連続出場は戦後の最長記録(戦前には和歌山中学が14年連続を記録)である。これらの学校は、平成以降だけでランキングすれば上位に入るが、第1回からの通算勝利ではまだ上位に入ることはできない。
では、夏の通算勝利数のベスト3を紹介しよう。