もしサーチュインがうまく働かず、活性化すべき遺伝子を元気づけられなかったり、黙らせるべきではない遺伝子が沈黙してしまっていると、細胞はアイデンティティを失って正しく機能しなくなり、老化が始まります。

 マサチューセッツ工科大学のレオナルド・P・グアレンテ教授とワシントン大学の今井眞一郎教授によって、サーチュイン遺伝子の活性化が長寿につながることが2000年に発表されました。

缶ビール1日1本でも海馬が萎縮!認知症のリスクを高める6つのNG習慣『脳は何歳からでもよみがえる』(アチーブメント出版)中冨浩文(著)

 さらにハーバード大学医学部のデビッド・A・シンクレア教授によってカロリー制限によってもサーチュインを活性化させると述べています。

 2009年のウィスコンシン大学の報告では、食事のカロリーを30パーセント制限したアカゲザルは、制限なく食事を与えたサルに比べて、糖尿病、心血管疾患、がんといった加齢に伴う病気での死亡および、脳萎縮が減少することが示されました。

 サーチュインの燃料となるNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、さらにその原料となるNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)はアンチエイジング効果のあるサプリメントとして市販されています。マウスに12カ月間NMNを投与した研究では、老化抑制効果がみられました。加えて心不全や糖尿病、アルツハイマー病抑制に対する有効性もその他の研究により、示唆されています。