7月15日、宮田選手が喫煙をしているのではないか、という内部通報が協会に届く。翌16日、協会は欧州の合宿所で宮田選手に聞き取りを行う。この際、喫煙の事実に加え、ナショナルトレーニングセンターでの飲酒についても本人が認めることになる。事態を重く見た日本体操協会は緊急帰国を指示し、18日夜に本人・両親・弁護士立ち会いのもと、協会理事との相談の上で、今回は処分とはせず出場を自主的に辞退する、という形で着地することとなった。

 また、事実関係の確認ということでいえば、そもそも日本の法律で、飲酒、喫煙は20歳まで認められていないから、これは法律違反にあたる。さらに、協会の代表選手の行動規範においては、代表活動中は20歳以上でも喫煙や飲酒を禁止すると定めている。

 本件は、公序良俗に照らして問題であるということではなく、日本の法律と、協会が定める行動規範に違反が認められる事案である。

 能力があれば、団体のルールと、さらには日本の法律をも超越して許される――それは、団体が目指す競技者のあるべき姿ではない。かくして、協会は出場を見送るように促したのだろう。それでも団体としての処罰にしなかったのは、十分に温情のある裁定だと思う。