悪気なく周囲をジャマする
歩行者のNG行為をなくすには?

 ですが、道路交通法施行令の第2条では、歩行者用信号が点滅を始めた際の行動について、次のように規定されています。

「歩行者等は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者等は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。」

 これを無視して、小さな子供の手を引いた母親が「早くしなさい」と言って急がせながら点滅中に横断歩道を渡り、結局時間がかかってしまう例も見かけます。クルマに気を使っているのは理解できますが、厳密に言えば法律違反です。

 とはいえ、たとえ違反者であっても歩行者を保護しなければならないのが日本の道路交通法の運用です。左折車は歩行者がいなくなるまで待たなくてはなりませんし、ホーン(クラクション)を鳴らしてどいてもらうわけにもいきません。かくして左折車は長く待たされ、それが積み重なった結果、左車線が渋滞するわけです。

 では、これを解消するにはどんな取り組みが必要なのでしょうか。

 歩行者とクルマの信号が別になる「歩車分離式」にする。交差点を立体構造にして、右左折の待機そのものを解消する。横断歩道を交差点から離れたところに設置し、左折車が入れるバッファを作る。

 これらの手段が効果的だと思われますが、「歩行者もクルマ並みに法律と信号を守ること」が最も手っ取り早い解決策なのは間違いありません。