「赤信号でも左折可」の交差点が
もっと増えるべき!?

 歩行者の話題からは外れますが、「赤信号でも左折可」の交差点が減っているのも、渋滞解消という観点ではあまりよくないと感じます。安全が確認できれば、赤信号でも左折できるようにすることで、クルマの流れは改善されるのではないでしょうか。

 おそらく、こうした交差点で事故が起きると、ドライバーの過失ではなく「交差点の仕組み自体が悪い」という議論に発展するのでしょう。加えて、慣れないドライバーが曲がらず止まってしまうなどの弊害もあるため、昨今は数を減らしていると考えられます。

 ですが、右側通行の欧米では「右折可」の交差点も多く見られます。日本でも海外のように「自己責任」を重視して、交通の円滑化のために「左折可」の交差点が許容される社会になれば、ひどい渋滞が多発する状況は変わるかもしれません。

 さて、ここまでは「左折待ち」を中心に問題点を指摘してきましたが、「右折待ち」が全く混まないというわけではありません。交通量が多い場合は、どうしても渋滞してしまう場合もあります。ここで参考になるのが、朝の通勤時間帯などにひどい渋滞が起きがちなタイ・バンコクの事例です。

 実はバンコクでは、少し変わった渋滞対策が行われています。それは「右折できない交差点」の設置です。こうした交差点にはUターン路が設けられていて、右折したいクルマはそれを利用して方向転換し、交差点を「左折」することで目的の方向に向かうことができます。

 Uターン路は立体交差になっていて、距離も長く取られています。日本の右折レーンの何倍もの距離なので、ここで渋滞することはあまりないのです。

 もちろん日本にも右折禁止の交差点はありますが、上記のようにスペースに余裕のあるUターン路とセットになっているわけではなく、単に右に曲がれないだけです。そのため、当該の交差点の手前や先の交差点で右折しようとするクルマが多く、あまり渋滞解消の効果が得られていません。

 国交省などが渋滞対策を講じる際は、こうした海外の興味深い事例も参考にしてもらいたいところです。

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