「どんどん出世していくビジネスパーソンがこっそり身につけている理論がある」
そんな声が止まらないのは、これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法の「識学」だ。その代表を務める安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作は、「会社員人生が180度、変わった」「本音ばかりが書いてある」と話題になっている。部下の育成や日々の管理業務などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のビジネススキルを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

二流の管理職は「なる早で」が口グセ。では超一流は何と言う?Photo: Adobe Stock

「伝え方」が大事

 仕事で目標に未達だったときに、上司から「頑張れ」と言われたところで、何も解決しません。
 それは誰もが知っていることです。しかし、自分が上司のような立場になった瞬間、

「もっと頑張れよ」

 と言ってしまったり、心の中で思ってしまうのが人間の常です。

 だからこそ、その前提の上で、仕組みをつくっておく必要があります。

「なるべく早くメールを返信すべきだ」

 という課題があるとします。
 特に経営者をしていると、意思決定のためのスピードが求められます。
 そのため、部下への確認でメールを送った際、できるだけ早い返信がほしい。
 とはいえ、「なるべく早く」では、1人1人によって認識の違いが生まれます。

「なるべく早くだから10分以内だ」という人もいます。
「その日中に返せば、なるべく早いでしょう」という人もいます。

 ダメな管理職は、その誤解を放置したまま「なる早で」という言葉を連発してしまうのです。

 そのため、仕組みで解決して、もっと解像度を高く、課題を設定すべきです。
 たとえば、いい管理職は、次のように伝えます。

「メールが届いたら、3時間以内に返信してください」

 なぜなら、3時間以内であれば、どんな状況でも1回はメールチェックができるからです。
 長い会議に入ったり、研修講義を受けていたりしていても、3時間以上、休憩がないシーンは考えられません。
 そこまでを考えて、「3時間以内の返信」というルールを設定するのです。

 これが、仕組みで問題を解決する発想です。

人間は放っておくと「自然」に帰る

「やればできる」という便利な言葉があります。
 誰しもが同じことを考えています。
 しかし、放っておくと、人はラクを求めます
「なるべく早く」を「今日までに」と解釈します。
「手が空いたら」を「完全にヒマになったら」と解釈します。
 そうやって、自分にとって都合のいいように考えてしまいます。

 勉強や仕事をするように人間の脳や体はつくられていません。
 それを、「計画」や「習慣」によって変えていき、社会を形成してきたのが人類の歴史です
 自然を変え、不自然を当たり前にしてきたのです。

「なる早で」などの曖昧な表現をなくし、数値化によって仕組みを作る。

 その姿勢を貫くようにしてください。

(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年8月現在、約4400社の導入実績がある。主な著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(いずれもダイヤモンド社)がある。