「ホス狂い」は消費か、浪費か?
周囲の声とは正反対の当事者たち

 では「投機」はどうか?

 投機とは、機会に乗じて短期間で自分の懐を肥やすべくひたすら利益を得ようとする行為のことをいう。利益を目的としたマネーゲームと表現してもよい。少しでも安く仕入れ、高く売却できるかがすべてで、投機的なマネーゲームのことをゼロサムゲームと呼ぶこともある。得点の総和がゼロであるという意味で、社会全体で考えれば利益を奪い合っているだけ。全体的には成長・発展していないような状態のことをいう。

 つまり、投機は利己的な利潤の奪い合いであり、社会の健全性を損ねる可能性すらあるのだ。

 一方、投資よりずっと身近な行為である「消費」もまた、社会の健全化に寄与できる行為である。

 目の前に2種類のドリンクがある。どちらもおいしいが、1つは身体に有害な添加物たっぷりで、もう1つは自然で良質。君はいったいどちらのドリンクを選ぶだろうか?

 どちらもおいしい。だから時に前者の有害なドリンクに手を伸ばすことがあったとしても、どこかしら感じる身体の不調を考えると、その回数は徐々に減っていくはずだ。一方、後者のほうは自然だし良質だから、身体を壊すこともない。体調の良さに満足した君は、2度、3度と継続購入することだろう。

 つまりわれわれは消費することによって知らず知らずのうちに企業を選択し、良心のない企業を淘汰している。消費とは、普段の何気ない暮らしの中で未来をつくり、社会をより健全化する可能性を持っている大切な行為なのだ。

「消費」は社会の健全化に一役買うが、「浪費」とは別物であることには注意されたい。

 ここで話をちょっと脱線してみたい。

 2023年に表面化、問題視されたものに、一部の女性たちの「ホス狂い」がある。女性を金づるとしか考えていない悪質ホストに入れ込んでしまうことで、数百万円を超えるツケを抱え、その返済のために路上や風俗店での売春行為にまでおよんでしまうこともある。国会に「ホスト新法」こと「悪質ホスト対策法案」が提出されるほど大問題となったのは、君も聞いたことがあるだろう。

 このホス狂いは消費だろうか、それとも浪費だろうか?