声の通りにくさも関係していますが、たびたび聞き返されてしまうというのは、話している内容がきちんと伝わっていないということです。当然、相手にはいい印象を与えませんし、交渉ごともスムーズに進まないでしょう。

 滑舌が悪かったり、よく噛んでしまったりするようでは、プレゼンなどで十分な力が発揮できません。適正な速度でスラスラと、よどみなく言葉が出てくる人の話は、重要なポイントもつかみやすいものです。

 話す言葉に説得力がない。これは、ビジネスではもはや致命的ともいえます。

 もちろん、業種によって求められる声も変わってきますが、人と人が対峙する以上、そこにはコミュニケーションのツールが必要になります。数あるコミュニケーションツールのなかでも、とくに差が出やすいのが「声」なのです。

「声」は非常に重要な
ビジネススキルだ

 最近は、仕事のやり取りをメールで行うことも多くなりましたが、メールの文面はある程度定型化されており、個々の差や印象の違いは生まれにくいものです。しかし、声はどうでしょう。電話ひとつを取っても、少し言葉を交わしただけで、個別の印象を何かしら抱くはず。フェイス・トゥ・フェイスなら、なおさらです。

 研修なども含めると、これまでに4万人近いビジネスパーソンの声を聞いてきた私の経験上、仕事ができる人ほど声の重要性を認識しています。そして、「いい声=それぞれの仕事に求められる声」で話すために、努力や工夫をしている。保険や不動産、金融のトップ営業パーソンたちを見ていると、声が通る、声がいい人が圧倒的に多いのです。

 以前、一流企業の成績優秀者ばかりを集めたセミナーに参加したことがあるのですが、ものの見事にいい声の持ち主ばかりで、私も驚きました。断言します。「声」は、非常に重要な「ビジネススキル」です!