先ほどお話をしましたが、任せることに慣れていない時や、部下の経験が浅い時は、顧客からクレームがつくことが比較的多くなります。

 しかしそこで自分が仕事を引き取ってしまうと、部下は成長しません。あくまでも担当者は部下であり、やり遂げさせることが部下の成長につながります

 このような場合は、上司(経営者)からの顧客へのフォローが大事になります。

 そこが上司(経営者)の腕の見せ所であり、上司(経営者)の仕事です。

 私の場合、クライアントからクレームがついていたり、口には出さなくてもクライアントが担当弁護士に不安や不満を感じているのがわかった時は、私も打ち合わせに同席します。

 クライアントの納得や安心感を得るよう努めつつも、担当者には打ち合わせに同席させ、あくまでもその担当者が仕事をやり遂げるように持っていきます。

 場合によっては、私がクライアントに個別に電話をして細やかなフォローをすることで、いつの間にかクライアントが安心感を得るようになることがあります。

 それでもどうしてもうまくいかない場合には、私が対応するようにして、また担当者に戻すことを繰り返します。このように部下に粘り強く任せ続けることをして少しずつ育てていくことが必要です。

 あくまでも部下に自分が担当者として逃げずに対応させること、上司は陰に陽に顧客へのフォローをしておくことが大切です。粘り強くやっていくことです。

部下は子供ではない!
子離れできない上司の対策は?

 途中で任せることを諦めたくなることがありますが、仕事を外された部下は自信をなくしますし、上司は自分の仕事が増えてしまいます。いいことはありません。

 部下に任せても、任せ切れずに途中で口出ししてしまうという声をよく聞きます。見ると口出ししたくなるというやつです。自分のあるべき姿というのがあり、それと現状のズレに我慢できないのでしょう

 あるいは、自分の子供に対して口うるさくしてしまうのと同じ感覚で、部下を子供と同じように見ているのかもしれませんね。

 この対策としては、子供が巣立ってしまうと子離れせざるを得なくなるのと同じで、わざと現場から距離を置き、物理的に現場を見られなくすることも1つのやり方です。