ただし、見守りというよりも放置に近くなりますので、任せている間に取り返しのつかない事態になっている危険があります。要所要所で状況を確認することが肝要になります。
物理的に口出しできない状況を作るというやり方は、任せることに慣れていない人が、考え方を変えるためにやってみるのがいいと思います。結果を見てみると、意外に部下たちがいい仕事をしていることを実感できることでしょう。
そして、任せ続けていると、自分が自らやるよりも、部下たちがたくさんのこと、しかも質の良いことを生み出せていると感じる瞬間に出会うことがあります。そこまで我慢できるかというところですね。
忙しい社長が
会社のリスクになるワケ
こうして、任せ続けることによって、上司が敢えて動かないことも大事ということがわかってきます。
上司が敢えて動かないことによって組織を動かしていくという感覚を掴むことがあります。
逆に、上司が動くべきタイミングも見えてくるようになります。
そうなったら、任せることが楽しくなります。是非そのような感覚を味わえるまで任せ続けてみてください。
社長は会社の精神的支柱であるとともに、最後に責任を取る立場にあります。ですので、従業員に仕事を任せるようになっても、いざという時には自ら動くという気構えが必要になります。
井上晴夫 著
会社に重大な危機が迫り、このままでは多大な損害が発生するおそれがあり、任せた従業員では対処できそうにない場合は、自ら陣頭指揮を執って事にあたるべきです。まさに「動くべきタイミング」です。
あるいは適時適切なタイミングで従業員に声を掛けることも必要になります。
社長がこのような働きをすることによって会社が守られるし、従業員からの社長に対する信頼感、会社への帰属意識が深まってくるのだと思います。
そして、社長がいざという時に動くためには、予定を組み過ぎないことが大切になります。
予定が詰まっていると、いざという時に動く余白がなくなります。社長は、意識的に「何も予定が入っていない時間」をスケジュールに組み込むことが有効です。