私たちの研究では、小学校低学年の子どもを持つ親が家庭での学習にどのようにかかわっているかを、

・勉強をしたか確認している
・勉強を横について見ている
・勉強する時間を決めて守らせている
・勉強するように言っている

 の4つの項目において、親自身の自己評価をもとに、2点満点で点数化しました。

 項目は4つあるので、最高点は8点、最低点は0点となります。その結果は、母親は平均点が5.89、父親は平均点が2.69となり、母親はかなり積極的に子どもの学習にかかわっている一方、父親はそうでもないことがみてとれます。

 そして、その父母それぞれのかかわり方が、どの程度子どもの学習時間の増加に貢献しているのかについて、面白いことがわかりました(※)。

※この推計においては、家族構成や親の年収、通塾の有無などに加え、遺伝などの観察できない要因が子どもの学習時間に与える他の要因を取り除いている。

(1)お手軽なものに効果はない

 まず、父母ともに「勉強するように言う」のはあまり効果がありません。むしろ、母親が娘に対して「勉強するように言う」のは逆効果になっています。

「勉強するように言う」のは親としても簡単なのですが、この声かけの効果は低く、ときには逆効果になります。エネルギーの無駄遣いなので、やめたほうがよいでしょう。逆に、「勉強を見ている」または「勉強する時間を決めて守らせている」という、親が自分の時間を何らかの形で犠牲にせざるを得ないような手間暇のかかるかかわりというのは、かなり効果が高いことも明らかになりました。

(2)男の子なら父親が、女の子なら母親がかかわるとよい

 家庭での学習へのかかわり方は母親に比べて低い父親ですが、世の中のお父さんたちは決して自分の役割を侮ってはいけません。なぜなら、子どもと同性の親のかかわりの効果は高く、とくに男の子にとって父親が果たす役割は重要だからです。