同性の教師と生徒の組み合わせが
学習の支援にはより効果的

 最近の研究でも、とくに苦手教科の克服には、同性同士の教師と生徒の組み合わせのほうが有効であるなど、類似の知見が得られているものがあります

 ここまで読んで、うんざりしたご両親も多いかもしれません。

「子育てとは、なんて手間暇のかかることなのか。『テレビを観るのをやめなさい』とか『勉強しなさい』というだけではダメで、横について勉強を見たり、勉強する時間を決めて守らせないといけないなんて」と。

 しかも最近では共働きの世帯も多く、子どもの学習にかかわる時間が十分に取れない方も少なくありません。

書影『「学力」の経済学』(ディスカヴァー携書)『「学力」の経済学』(ディスカヴァー携書)
中室牧子 著

 しかし、ここで朗報があります。実は、私たちの研究では、祖父母や兄姉、あるいは親戚などの「その他の同居者」が、子どもの横について勉強を見たり、勉強する時間を決めて守らせていても、親とあまり変わらない効果が見込めることがわかっているのです。

 2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大のヘックマン教授は、インタビューで次のように答えています。「親自身が働いていたりして思うように時間を割けなければ、できる限り時間を割きながらも、部分的に何らかの『助っ人』を頼んで、時間不足を補えばいいのです。かえって親の力量では与えられないような刺激を与えることにもなり、それは本人にも、社会にも良いことでしょう」(日経ビジネスオンライン、2014年11月17日)

 すべてを親が抱え込む必要はありません。困ったときは、学校や塾、家庭教師の先生なども含む身近な人に頼ってよいのではないかと、私は思います。