たとえば月曜から金曜まで、遅刻をせずに出社した人には、毎日1枚ずつトランプのカードを引かせるのもよいでしょう。

 月曜から金曜まで1日も遅刻も欠勤もしなければ、5枚のカードが手に入ります。その手持ちのカードでポーカーを行い、一番高い役の従業員にはボーナスが出る、という楽しい取り組みをしたところ、従業員の遅刻や欠勤率を下げることができて、しかも生産性もアップしたという論文もあります。

 どうせ仕事をするのなら、みんなで和気あいあいと楽しい気分でやりたいものです。そういう雰囲気づくりをしてくれる上司や社長の下でなら、従業員は一生懸命に仕事をしてくれるのです。

フィードバックを毎回伝えると
部下はぐんぐん成長する

 部下を指導するときには、アドバイスをしたり、しなかったりとバラツキがあるのはよくありません。毎回、気づいた点を必ず伝えてあげる必要があります。そのほうが部下は能力をぐんぐん伸ばしていきます。

 自分が気づいたことを、相手に伝える作業を「フィードバック」というのですが、フィードバックはできるだけ毎回やってあげることが重要なポイントなのです。部下の仕事のやり方の間違いに気づいても、5回に1回しかフィードバックしないのでは、部下はなかなか改めることはできません。面倒くさいと思うかもしれませんが、毎回、きちんとフィードバックを伝えたほうが、部下も早く改善でき、こちらの指導を必要としなくなる日がくるのも早まるのです。

 ただフィードバックをまとめてやろうとするのも、あまりよくありません。

 1週間分のフィードバックをまとめて伝えるとか、1カ月分をまとめてする、というのではダメです。気づいたときには、すぐにフィードバックです。この原則を覚えておきましょう。

 フィンランドにあるユヴァスキュラ大学のカイス・モノネンは、ライフル射撃の競技経ない人を58人集めて、ライフル射撃を教えました。射撃の精度、安定性、姿勢のバランスなどを58人に教えていくのですが、その際に、2つのグループに分けました。2つのグループのフィードバックは次のように決めました。ひとつは毎回フィードバックする。もうひとつは2回に1回フィードバックする。訓練は4週間にわたって続けられたのですが、ライフル射撃の技術の向上が大きく見られたのは、「毎回フィードバックを受ける」グループでした。