個人投資家の間で大きな支持を集めるベストセラー『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』、待望の続編『株トレ ファンダメンタルズ編』が発売された。「この株は売り?それとも買い?」「どっちの株を買う?」投資シミュレーションの感覚でクイズを解くうちに株の知識が自然と身につく1冊だ。前作ではチャート分析がテーマだったが、今作では業績や財務の読み方をわかりやすく解説する。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
優待投資で重要な5つのポイント
個人投資家に株主優待はとても人気です。優待好きの投資家は、短期的な株価変動に一喜一憂せず、株主優待を楽しみながらじっくり長期投資するのが良いと思います。
ただし、優待投資とは言っても株式投資です。最低限知っておいた方が良いことがあります。以下の5つのポイントを肝に銘じてください。
優待投資の鉄則1:
大きく下落する銘柄は「売り」
優待の魅力に惹かれて投資する人の一部に、業績や財務、株価をまったく見ない人がいます。投資した後、業績や財務が悪化して大きく下落する銘柄は売却すべきです。
一時的に業績が悪化しているだけならば気にする必要はありませんが、構造不況に陥ってリストラを始めた銘柄や、財務が傷んだ銘柄は売るべきです。
と言われても、「一時的に悪化しているのか構造的にダメになったのかわからない」という人も多いと思います。そういう人にオススメなのは、機械的な損切りルールです。
次のようなルールに沿って投資すると良い結果につながると思います。
〈リスク管理のための損切りルール〉
投資した銘柄が、買い値から20%下がったら売却
株価が買い値より20%以上も下がるということは、その銘柄は何か構造的な問題を抱えているかもしれません。20%の損切りルールを持っておけば、半値になるまで放っておくことを避けられます。
20%下がったところが大底でそこから反発する銘柄も、もちろんあります。そういう銘柄は「売らなければ良かった」と後悔するかもしれません。
私はファンドマネジャー時代に、損切りしてから株価が反発しても後悔することは一切ありませんでした。20%下がってから反発する銘柄より、20%下がってそこから下げが加速する銘柄の方が、はるかに多かったからです。
20%も下がる銘柄を買ってしまったら、いったん売却して頭を冷やしてから、別の有望銘柄を見つけて投資したほうが良い結果につながります。
優待投資の鉄則2:
配当利回りと優待を両方見て、総合的に有利な銘柄を選ぶ
一部の個人投資家に、配当金より贈り物(株主優待)を好む傾向があります。度が過ぎると、非合理な行動につながります。
いくら優待品が魅力的でも、配当利回りが低すぎると、総合的に見てメリットが小さくなります。
優待投資の鉄則3:
優待は廃止されることもある
株主優待を実施するかどうかは、経営者の考え次第です。
小売り・外食・食品・サービス・電鉄・航空などの消費関連企業に、自社製品や自社サービスを優待に提供するケースが多いのは、株主を潜在的なお客さまと捉えて自社の宣伝をしている面があります。
また、優待を通じて個人株主を優遇することによって、個人株主数を増やすことを目指している企業もあります。
経営者の考え方の変化によっては、優待が廃止されることもあります。
自社商品と無関係の優待を提供する企業は、その可能性が高いと言えるでしょう。また、業績悪化が理由で、優待が廃止されることもあります。
優待投資の鉄則4:
最小投資金額で多数の銘柄に分散投資するのが有利
株主優待制度は、小口投資家を優遇する内容となっています。
したがって、効率良くいろいろな優待を取得するためには、最小売買単位(100株)で多数の銘柄に分散投資するのが有利です。
優待投資の鉄則5:
使わない優待券は売却も検討
優待券には、通常、有効期限があります。「ぜひ使いたい」「使いやすい」ものから選び、期限切れを起こさないようにしましょう。
「食品詰め合わせ」などが贈られる優待なら無駄になりませんが、有効期限付きの割引券や金券は、期限切れになることもあります。
人気の株主優待券であれば、ネットあるいはチケットショップで売却できることもあります。使うあてがないならば、売却を検討してみるのが良いでしょう。
(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)