年収が高くなればなるほど
幸福感は増していく?

 おいしいものを食べるためにも、素敵な生活を送るための家や車を買うにも、旅行するにも、お金は必要です。そのため、ある程度はお金を得ることで満足感が満たされるといえます。

 収入と幸福の関係についてはさまざまな研究が行われていて、諸説あります。内閣府の「満足度・生活の質に関する調査報告書 2023」の調査報告によると、年収ごとに「生活満足度(現在の生活にどの程度満足しているかを 0〜10点で自己評価したもの)」の変化が見られます。

300万円未満        4.58点
300万円以上500万円未満  4.85点
500万円以上700万円未満  5.41点
700万円以上        5.91点

 300万円未満から700万円以上まで、それぞれの上昇幅は0.27点、0.56点、0.5点と満足度が増加していることが分かりますが、収入が2倍以上になっても満足度は同様に2倍に増えてはいません。また、500万円以上700万円未満から700万円以上では、点数の増加幅が小さくなっていて、収入増加による満足度への影響が薄れています。

 ある一定レベルまでは、収入が上がるほど満足度は高くなりますが、その上がり幅に比例して同じように上がっていくわけではないことが、データから読み取れます。

 年収を得る方法にもよりますが、一般的には年収が高くなるほど自分の自由な時間というものは減るのではないでしょうか。友人や家族との時間が減ったり、健康に気を使う時間もとれなくなったりすると、幸福感は低くなってしまいがちです。

 幸福かどうかは、友人や家族、家計、健康などといった要素から総合的に判断されています。つまり、精神的なゆとりがあるのか、自由な時間はどのくらいあるのかといったことが、幸福度(満足度)に関係しているといえるでしょう。

 ファイナンシャル・ウェルビーングにおいては、収入やお金を増やすことに加えて、自分にとって幸せになれるお金の管理の仕方や使い方とは何なのかを考えることが重要です。

 英国では20年に、金融年金サービス局が「国民のFWBに関する国家戦略」」を策定しました。この戦略は、個人のファイナンシャル・ウェルビーングの向上に焦点を当てており、30年までに達成すべき5つの目標を含んでいます。