時間通りに始まらない会議/終わらない会議。その常態化が、会議を「共創できない場」に変え、自分本位な組織体質を醸成していく。

 そこで、この状況を改善するための方法を2つ示す。

標準所要時間を45分にする

 会議は何となく60分で設定されていることが多い。その状態で会議が詰め込まれると、毎時ゼロ分に前の会議の終了と次の会議の始まりがかち合うことになる。移動の必要がある場合、到底次の会議の開始時刻に間に合うはずがない。
 もちろん、会議を立て続けに入れない工夫も大事だが、なかなかそうもいかない場合もある。

 そこで、「会議時間=60分」の常識を捨てよう。
 
たとえば45分で設定する。おのずと15分の余白ができて、次の会議の準備や頭の切り替えをする余裕も生まれる。
 その直後(つまり45分)に始まる会議を入れられてしまえば水の泡だが、多くの人が開始時刻はキリよく0分ないし30分で設定し続けるだろう。会議室予約システムが30分単位で設定されているならば、システム担当に相談して15分単位で設定できるよう変更してもらおう。

 もちろん、45分間で議事進行できるようにするための準備やファシリテーション能力の向上も必須だ。その壁を乗り越えれば、会議の質そのものが向上する。

開始前に「一席」設ける

 参加者が早めに会議に参加したくなる、そのためのひと工夫を凝らしてみるのもよい。
 たとえばあなたが会議開始5分前くらいに入り、そこで会議の議題とは直接関係のない有益な情報を提供したり、悩み相談に乗る。または楽しい雑談をする。場を温める目的で「最近、手品にハマってまして……」と趣味の話をするなどもアリだ。
 すなわち「一席」設ける。

 遅れてきた人は、すでに盛り上がっている、温まっている、有益な会話がされている場を見て、少しの疎外感と「自分ももっと早くくればよかった」と後悔を感じるだろう。そこから会議前の一席を楽しむために、あなたの参加する会議には早めに参加する人が増えるかもしれない。

早く終わることを称賛する

 会議を予定時間より早く終わらせるための工夫も推奨したい。
 予定時刻よりも早く議題に結論が出るなどした際は、「早く終わっちゃいましたね……」ともじもじしながら別の議題を無理やり探すのは時間がもったいない。会議の目的は、予定時間めいっぱいに会議室を使うことではない。

 結論が早く出たときは称賛の一言を述べて切り上げよう。
「みんなが頑張ったおかげで、早く結論が出ましたね。では、これで終わりにしましょう!」と、さわやかに散会しよう。

 私がかつてともに仕事をした海外のビジネスパーソンたちは、たとえば会議が5分でも早く終了すると、以下の言葉をにこやかに発して場を終わらせていた。

「5 minutes, back to you(あなたたちに5分お返しします)」

 貴重な時間を参加者にお返しする。その発想を持ち、仕事そのものを早く終えることを良しとする空気を創っていきたい。
 
ためしにあなたも会議の終わりに「X minutes, back to you」と発してみてはいかがだろうか?

一歩踏みだす!

 ・会議を60分間ではなく45分間で設定する
 ・開始前に「一席」設ける
 ・「X minutes, back to you」を口ぐせにする

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『新時代を生き抜く越境思考』『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』(いずれも技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など、著書多数。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。