回答のポイントは、スカッシュをプレイするまでの段階をイメージすることです。

 スカッシュを知らない人が、定期的にプレイするようになるまでの段階を具体的にイメージし、本質的な課題を特定しましょう。

 以下が解答例です。

クライアントを想定し、「スカッシュ人口」の定義を明確にする

 今回、私はスカッシュの競技団体がクライアントであると想定し、競技人口を増やすための打ち手を依頼されたと考えました。

 また「スカッシュ人口」「月に数回のペースでスカッシュを継続的にプレイする人々の数」と定義し、人口増加に向けた打ち手を検討します。

スカッシュ人口を増やすにあたっての課題を探る

 スカッシュはマイナースポーツであり、そのようなスポーツの存在自体を知らない人もいると考えます。

 まずは、人々がスカッシュというスポーツを認知し、興味を持ち、実際にプレイし、繰り返しプレイする(リピートする)という定着のフローごとに課題を洗い出したいと思います。

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 このように課題を洗い出したうえで、私は、「認知されていない」ことと、「プレイに至っていない」ことが本質的な課題だと考えました。

 スカッシュはマイナースポーツであるため、そもそも多くの人々がこのスポーツの存在を認知しておらず、実際にプレイできる場所も極めて限られています。

 この2点が解消されれば、スカッシュを認知して関心を持った人々が実際にプレイしてその魅力を体感し、リピートしてくれると考えます。

本質的な課題に対して、打ち手を立案する

 そこで、スカッシュ人口を増やすための打ち手として、「認知」と「プレイ」の2つに焦点を絞って検討します。

 まず、認知を高めていく打ち手としては、実際にプレイしてもらえるような若者をターゲットにSNSを通じた情報発信を行います。より具体的には、若者に人気のインフルエンサーの協力を得て、スカッシュの面白さや魅力を継続的に発信します。

 情報発信の中で競技の説明を行うことができれば、人々がスカッシュのルールを理解し、次のステップの「興味」にも良い影響を与えることができます。

 次に、プレイしてもらう機会を増やす打ち手として、都心部などの人の集まる場所に体験施設を設置し、無料でスカッシュを楽しんでもらうことが重要だと考えます。

 そもそも、私の周りではスカッシュをプレイできる場所がないため、先ほどの認知アップの打ち手と並行して、このような場を提供することがスカッシュ人口の増加には不可欠です。

 まとめますと、スカッシュ人口を増やすに際しては、大きく「認知」と「プレイ」に本質的な課題があり、ターゲット層への情報発信と場の提供をあわせて実施することを最優先に取り組むべきです。

 以上となります。ありがとうございました。

面接官からの質問

――提案いただいた打ち手によって、実際にどのくらいスカッシュ人口は増えますか?

 あくまで私の感覚ですが、スカッシュを知っている若者は全体の2割程度ではないでしょうか。

 仮に今回の打ち手が奏功し、スカッシュを知って興味を持つ人が2倍に、そのうちの2割がプレイに至ると考えてみます。

 1学年の人口を100万人と置くと、ターゲットとする16~30歳の人口は1,500万人と推定できるので、スカッシュ人口が120万人(=1500万人×0.4×0.2)増えると推定できます。

――今回の提案では、若者がターゲットに設定されていますが、その理由は何でしょうか?

 スカッシュは大変激しいスポーツであり、中高年の人にはハードルの高い競技だからです。

 また、私は「スカッシュ人口」を「月に数回スカッシュを楽しんでいる人々の数」と定義して、そのようなアクティブで余暇のある層として若者をターゲットと設定しました。

――今回提案いただいた内容は、競技人口が少ないことに悩んでいる他のマイナースポーツにも適用できますか?

 適用できると考えます。多くのマイナースポーツは文字通り、人々から十分に認知されておらず、プレイする場も限られています。

 したがって、「認知向上」と「プレイする場の提供」の両輪で競技人口を増やしていくアプローチは有効だと考えます。

 ただ、情報発信については、該当スポーツのターゲットを具体的に想定して、適切な情報メディアによる発信を工夫する必要があるでしょう。

(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)