子どもを持たない人が
増えている背景

 子どもを持たない人が増えている背景には、経済的な不安、子育てと仕事との両立の難しさ、晩婚・晩産化、価値観の変化に伴う生き方の多様化、婚姻数の低下などさまざまな要因が絡み合う。

 23年に岸田政権は「異次元の少子化対策」なるものを打ち出した。政府が発表した「こども・子育て政策の強化について(試案)」の中では「少子化は深刻さを増しており、静かな有事とも言える」「これ以上放置できない待ったなしの課題」と強調し、「少子化・人口減少のトレンドを反転させることは経済活動の活性化、社会保障機能の安定化、労働供給や地域・社会の担い手の増加など、わが国の社会全体にも寄与する」と示す。

 対策として、児童手当の拡充、出産の経済的負担の軽減、子育て世帯への住宅支援の強化、男性育休の取得強化(30年までに85%の取得率目標)などを列挙する。

 このような少子化対策が進む陰でしわ寄せを受けがちなのが、子どもを持たない女性たちだ。少子化対策が実現しようとするのは「結婚し、子どもがいて、夫が育休を取る」といった家庭像。そのイメージが強いほど、それを達成しない人を傷つけ、見えない圧力を生む可能性が高くなる。

 妊娠、出産した人やその夫は「少子化対策に貢献した」と評価され、受けられるサポートが用意されている。しかし、産休や育休を実施する職場において、仕事をフォローする側への労いや報酬への反映は追いついているのだろうか。

 次回は、子どものいない女性が自分らしく人生を歩んでいける場「マダネ プロジェクト」を主宰するくどうみやこさんに話を聞く。イベントや交流会を通して女性たちと触れ合う中で聞こえてきた声や実感とは、どんなものだろうか。