芸能界では旧ジャニーズ問題をきっかけに
「権力」が可視化されている最中

――マスコミの報道姿勢については、以前から不満を持っていますね。

「いっそ出版社を作っちゃおう」水道橋博士が“紙の本”にこだわる理由水道橋博士/1962年生まれ。ビートたけしに弟子入り後、玉袋筋太郎とお笑いコンビ「浅草キッド」を結成。文筆家としても活躍し、大宅壮一ノンフィクション賞にノミネートされた「お笑い男の星座2」(文藝春秋)のほか、話題作を多数発表。2024年9月には自身の出版社「虎人舎」を立ち上げるなど、還暦を越えた今も精力的に活動を続けている。

 テレビってスポンサーへの忖度がありますよね。僕自身、かつてヘイトに関わるような発言をしていたある企業を非難したら、テレビ番組のレギュラーが飛びました。(この件とは別だが)スポンサーだから批判できないっていうのは、おかしいと思いません?

――今は、SNSがあるので少しだけ報道の在り方が変化したようにも思うのですが。

 芸能界では、そういう印象も多少はありますかね。旧ジャニーズ問題が書かれ始めて以降は、事務所の権限であったり、一般の人からは見えなかった権力が、可視化された面もあります。今はそうした隠されていた部分が暴かれている最中じゃないですか。

 だからやっぱり、自分が属する業界についてもっと歴史を調べた方がいいと思うんです。芸能人なら芸能史を調べていくと、どこの事務所にどんな権力があるからこの芸能人のスキャンダルは書かれないんだってことが分かる。芸能界だけでなく、どの業界にもそういうことってあるでしょう。

――ところで博士は『やしきたかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ系列)の熱狂的なウォッチャーだそうですね。

 自著『藝人春秋3』(文春文庫)にも書いたんですが、関西の制作会社が具体的な意図を持って『たかじんnoマネー』(テレビ大阪)という番組で、偏向報道を続けていたんです。僕はその番組のレギュラーでしたから、当然その姿勢を非難したし、同じ制作会社が作っていた『そこまで言って委員会』もチェックしていました。

 あと、亡くなった勝谷誠彦さんのメールマガジン(『勝谷誠彦の××の日々。』)も読んでいて、勝谷さん自体をウォッチしていました。ただ、僕の中では許してなかったけれど、勝谷さんが亡くなる前、関西で彼がやっていた番組に呼んでもらったことがあります。その時はもう病気もされていたので、鞘をおさめて対談しました。