水道橋博士が出版社を創業!
絶版された名著を復刊し手売りする

――博士は本に対する愛があふれていますよね。ご自身で書店や出版社を立ち上げられそうな勢いです。

「いっそ出版社を作っちゃおう」水道橋博士が“紙の本”にこだわる理由博士と共に出版社を立ち上げたメンバー(提供写真)

 実際に、出版社を立ち上げるんですよ。というのは、僕が文藝春秋から出していた『藝人春秋』シリーズが全部、絶版になっちゃったんで。絶版は自分の子どもを失うようなものだから、1000冊分を買い取って手売りする勢いでした。そこで、いっそのこと出版社を作っちゃおうと。

 従来型の出版社の仕組みは、会社がもうけるために、著者の印税が1割とか、そういうルールです。でも、受注生産であれば倉庫代もかからないし、大手流通を介さなければ、赤字にならない出版社の経営ができるはずなんです。

 ビジネスモデルは、絶版されて版権がないものを復刊していくことです。例えば、前田日明さんの30年ぐらい前に出した本で絶版になっているのがあるんですが、ご本人に相談したら快諾してくれたのでそれも出版します。イベントで手売りしたらそこそこ売れると思うんです。あとは、数十ページの軽い本や、これまでに作成した年表っていうのがあるんですよ。町山智浩さんとかね。

――ちなみに、社名は決まっているのですか?

 今のところは、「虎の穴」です(※後日、SNSで「虎人舎」と発表)。「幻滅舎」って候補もありましたよ。僕と一時やりあった幻冬舎に対して幻滅したという意味もあるし、僕が好きな本をつくっていた点滅社っていう出版社の名前をもじって付けようと思っていました。

――電子書籍も出しますか?

 いや、僕は紙の本の形にこだわってるから、つくりません。坂本龍一さんも生前に指摘していましたが、本は、あの形であること自体にパフォーマンス性を持っている。本は紙の束のフィギュアであって、その形と重さですでにパフォーマンスをしている。だから、電子じゃ、ダメなんです。

 もちろん、電子の方がビジネス的なリスクは少ないと思いますよ。けれど、出版社の名前は「虎穴に入らずんば虎子を得ず」っていうことわざの通りに、自分が報われるためには、リスクを取らないとダメなんだっていう意味を込めました。

 だから、今あえて出版社も創業するし、今どき見かけないこんな分厚い本『本業2024』も出したということですね。

書影水道橋博士『本業2024』(青志社)発売から2カ月足らずで重版決定!続編も進行中!水道橋博士『本業2024』(青志社)