ノンバンクによる迂回融資にも限界がある。売れないと値下げをしてでも売ろうとする。こうしたネガティブ・スパイラルが始まった。徐々に徐々に不動産の価格が下がり始める。戦後初めてのことかもしれない。
日本は経済成長率が平均0.7%の低成長時代に突入した。企業は身の丈経営を意識し、コスト削減、財務体質の改善が急務だった。人々は働き盛りなのに給料が上がらず、でも働くしかないというどんよりとした時代の幕開けである。
実は1991年頃から日本の不動産は実に15年間にわたり下がり続けた。失われた30年の始まりだ。日本の世帯平均所得も1994年あたりをピークに下がり続け、2022年時点でもピーク時には届いていない。世界中の多くの国では年収は30年で倍以上にはなっているはず。
先進国のように毎年3%アップすれば24年で倍になる。新興国のように毎年6%アップすれば12年で倍になる。残念ながら、日本では増えるはずの年収が時間をかけて減ってしまった。
1000社以上の不動産会社が倒産
不良債権は100兆円に
地価は徐々に下がり始め、不動産業者は多大な売却損失を出すことになった。しかも8%もの金利を払えなくなってきた。財閥系大手不動産会社も苦しくなってきた。近年輝き続けているあの三井不動産でさえ、1997年3月期から4年間連続で最終赤字を記録した。