常時メニュー100種類以上!
「脱・かけうどん」で和食系外食の新星か
うどん業界は、「丸亀製麺」(トリドールホールディングス傘下)が851店(8月時点)、「はなまるうどん」(吉野家ホールディングス傘下)が418店(2月時点)と、ツートップを形成している。以下、大きく離れて100店以上が「山田うどん」、「ウエスト」、「杵屋」など。資さんうどんは現在73店で、早期に丸亀やはなまるに店舗数で追いつくことは難しいが、一方で独自の強みがある。「メニューの豊富さ」だ。
丸亀とはなまるはセルフサービスであり、「うどん+トッピング」が一般的な注文になる。ベースとなるかけうどんが300円台、常設のトッピングや天ぷらなどは10種類強といったところで、100円~200円台だ。あくまでうどんをベースにしているビジネスモデルのため、客単価が上がりづらい。それもあって丸亀は近年、700~800円台の高単価商品や、「うどん生地で作ったドーナツ」などサイドメニュー開発にも力を入れて客単価を上げようとしている。
一方で資さんうどんは、製鉄所などが集積する北九州で額に汗かく労働者の「あれも食べたい、これも食べたい」という要望に創業者の大西章資氏が応え続けた結果、メニューは常時100種類以上とずば抜けて豊富だ。サイドメニューの定番「ぼた餅」は年間540万個も売れる名物であり、丼やカレー単体も人気。さらに近年は、800円台のセットメニューが客単価アップを後押しし
ひるがえって資さんうどんは、「脱・かけうどん=客単価向上」のフォーマットを早期に完成したといえる。飲食店としての立ち位置は、既存のセルフうどん店とは異なり、「うどんがおいしくて敷居が低い和食ファミレス+食堂+飲み屋」という感じだ。かといって和食ファミレスの「さと」や「ゆず庵」よりは庶民的なメニューでリーズナブルだし、定食屋の「やよい軒」や「大戸屋」よりはメニューの選択肢が広い。資さんうどんは、新しい和食チェーン店としてのポテンシャルが高いといえる。
今後、すかいらーく傘下となり全国のセントラルキッチンや物流網を活用することで出店は加速するだろう。一方で、飲食店としてのフォーマットは丸亀やはなまるとは異なるし、店舗数で2強に追いつくことも現実的ではないと筆者は考える。むしろ、豊富なメニューを武器に、和食需要を広く取り込むことができれば、各地で天下を取れるのではないだろうか。