この事例は、本当の締め切りのもう1つの側面を示している。それは、本当の締め切りも、そもそも「社会的な」締め切りであるということだ。ハイパフォーマーたちは、自分が間に合うか間に合わないかが、他者に影響を与えることを認識しているために、物事を成し遂げようとするのだ。

書影『世界3万人のハイパフォーマー分析でわかった 成功し続ける人の6つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『世界3万人のハイパフォーマー分析でわかった 成功し続ける人の6つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
ブレンドン・バーチャード 著、和田美樹 訳

 現実は、他者を思いやり、世の中に大きな変化をもたらそうとすると、自分の抱える締め切りの数は増えていくということだ

 時間的なプレッシャー=たいへんな思いをさせられる、と思い込んでいる人もいるだろう。しかし、私が見てきたことと、他の研究結果では、そうではない。最近の研究で、人は、締め切りがあったほうが、アクティビティを完了させることにより注意を払うだけでなく、「そのアクティビティを終わらせ」て、次のアクティビティにより大きな注意を割きやすいことがわかっている。つまり、締め切りは、1つのアクティビティを終わらせ、次のアクティビティに専念することを助けるのだ。