「電話をかけるのも、取るのも苦手」という人は少なくない。電話はいきなり鳴り出すし、相手がどこの誰かもわからない。内向型にとって、電話は鬼門である。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』によると、電話で話す恐怖は克服できるという。今回は、内向型の生まれ持った強みを肯定してくれる本書でも取り上げられている電話応対の克服方法についてチャン氏に尋ねてみた。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)
電話が苦手な人にできること
──電話が苦手です。電話をかけるときと出るときに緊張を和らげる方法を教えてください。
ジル・チャン氏(以下、チャン氏) 電話、緊張しますよね。この「電話対策」については、『「静かな人」の戦略書』でもテクニックを紹介しています。
たとえば、「どのくらい時間があるかを最初に伝える」ということ。最初に、「5分くらいなら話せますけど、大丈夫でしょうか?」などと言ってしまうんです。終わりが見えていれば、ちょっとラクな気持ちで話ができますよね。
あとは、込み入った話になったときは、「改めて連絡します」と伝えること。
内向型の人は当意即妙な返事が苦手だったりするので、いったん聞くだけ聞いて、またかけますねと言って、切ってしまうんです。
そして、十分に準備してからメモを片手にかけ直す。
あるいは、メールで片付きそうでしたら、メールにスイッチしてしまってもいいと思います。
いまの時代、電話以外にもいろんな連絡手段があるわけですから、こだわる必要はありません。自分の得意な方法に誘導してしまえばいいんです。
ほかにもいろんなアイデアを紹介していますので、よろしければ拙著を参考にしてみてください。
「電話が苦手な人」の共通の特徴
チャン氏 では、そんなテクニックを知っても、恐怖感が克服できないというのであれば、どうしたらよいでしょうか? じつは、対処法があります。
次のステップとしては、電話応対をたくさん実践できる環境に身を置くことです。
なんのひねりもないと思われるかもしれませんが、実際、これに優る方法はないと思います。
「電話が苦手」という人は多いのですが、最大の特徴は「経験が足りていない」ということに尽きます。
「慣れ」こそ最大の秘訣
チャン氏 就職したてのころ、私は1日50本から70本ぐらい電話でやり取りをしていました。
電話は大の苦手でしたから、最初は本当につらかったです。うまくできる日もあれば、相手を怒らせてしまったり違う番号にかけてしまったりとミスをした日もありました。
でもミスをしても、それも一つの学習の機会だと捉えて、落ち着いて対応するように努めました。
そうして一喜一憂を繰り返すうちに、いつしか電話がそこまで苦手ではなくなりました。
超内向型の自分がラクに電話応対をできる日が来るなんて、過去の自分なら絶対に考えもしなかったと思います。でも環境の力、経験の力は大きいもので、いまではすっかり慣れてしまいました。
最初は苦手で怖いのは当たり前です。克服したいのであれば、ぜひたくさん練習できる状況に身を置いて、量をこなすようにしてみてください。
※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。