① まずは感謝や感動を小さく表現してみよう

 まずは小さな行動に対して感謝の言葉を述べよう。あるいは喜びや感動を素直に表現する。

「助かりました! ありがとうございます」

「その発想はなかった。面白いですね!」

「その方法があったか! 冴えていますね」

 このくらいでもかまわない。チャットのメッセージに感謝を示すスタンプを押すくらいからでもよいかもしれない。そこから「この職場では感情や感動を示していいんだ」「褒めるっていいことなんだ」「スタンプ機能を使って気持ちを伝えていいんだ」といった共感形成が行われる。

② 上長や顧客にもポジティブな言葉を伝える

 上長や顧客など、一般的に立場が上位と考えられる相手に対してもポジティブな言葉を投げかけてほしい。

「課長のあの一声のおかげで、会議の場が明るくなりました!」

「部長が“この作業、やめていいよ”と言ってくださったおかげで、残業せずに済むようになりました。助かりました!」

「請求書の送付、メール添付のみで受け入れてくださったおかげで、郵送するコストと手間を省くことができました!」

 このような具体的メッセージがあれば、相手は自身の行動に対する良し悪しを知ることができ、再び同様の行動をとってくれることだろう。

 職位が上がれば上がるほど、褒められる機会は減るものである。経営者や管理職だって褒められたいさ、にんげんだもの。

 また、職位や立場を超えてフラットに対話し合う文化の基盤も徐々に創られる。

③ 職場の外で褒められる経験を

 たまには職場を飛び出して、社内で職位の近しい人同士、あるいは社外の人たちと交流して対話をするのもいいだろう。

 同じ組織の中だと当たり前すぎて褒められないものごとも、ところ変われば感動してもらえたり、共感しあえたりする。
 見えない努力を、他部署や他社の人たちから「いいですね」「素晴らしいですね」と褒めてもらえることもある。

 ポジティブな言葉をかけてもらう喜びを知って、次は自分がポジティブな言葉を誰かにかける側に回る。そこから職場の景色は少しずつ明るくなる。

一歩踏みだす!

 ・小さなことから感謝や感動を表現してみる
 ・上長や顧客などにもポジティブなフィードバックをする
 ・他部署や他社の人たちと越境して対話するのも効果的

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。