実は今日の春闘でも、圧倒的多数の平均賃金方式と並んで少数の組合による個別賃金方式の要求とそれへの回答が行われています。連合の回答集計では、次の3種類に分けて引上げ額と引上げ率を公表しています。

A方式:特定した労働者(たとえば勤続17年・年齢35歳生産技能職、勤続12年・年齢30歳事務技術職)の前年度の水準に対して、新年度該当する労働者の賃金をいくら引き上げるか交渉する方式。この部分を連合は「純ベア」と定義した。

B方式:特定する労働者(たとえば新年度勤続17年・年齢35歳生産技能職)の前年度の賃金に対し、新年度(勤続と年齢がそれぞれ1年増加)いくら引き上げるかを交渉する方式。

C方式:個別銘柄で、引き上げ後の水準をいくらにするかを要求する方式。

日本的な個別賃金要求は
年功賃金制をより強化する

 ジョブ型雇用社会であれば、銘柄とは職務それ自体以外にはありません。各職務とそれぞれごとに定義された熟練度が銘柄であり、それに値札がついているというのが雇用社会の基本だからです。