気軽に会話や雑談できる空間を設ける

 静粛重視の職場。そこに気軽な雑談・相談や会話の行動習慣を小さく創っていきたいならば、次の3つを実践してみよう。

 まずは、気軽に会話や雑談できる空間を設ける。
 
オフィスの一画や社員食堂などに気軽に会話や雑談できる空間を設け、または探し、仕事の合間に上長や同僚とちょっと話をしてみる。長居すると悪目立ちしそうであれば、まずは1日5分~10分程度でかまわない。いきなり雑談するのが憚(はばか)られるようであれば、仕事に関連するテーマの相談や打診から始めるとよい。

オンラインに雑談スペースをつくる

 リアルが難しければ、チャットツール内に「雑談・相談コーナー」を設けるのも有効だ。
 
テキストコミュニケーション手段の活用は、時間や場所の制約なく、雑談や会話を生みやすくするメリットがある。オンラインの場があるとテレワーク勤務者も参加しやすくなってよい。

 リアルかオンラインかは問わず、まずは会話や雑談の場と体験を増やす。そうして「雑談や会話はいいものだ」という共感を小さく生んでいくと、オフィスの席での会話や雑談が許容されるようになるかもしれない。

集中できる空間や時間も大切にする

 一方で、思考や作業に集中できる場や空間を確保するのも重要だ。
 企業によっては、オフィスのフロアを集中空間と共創空間に分けているところもある。この場所では静粛に、この場所では会話や雑談歓迎。こうすれば、静粛モードとワイガヤモードの切り替えもしやすくなる。もし今後、あなたの職場でレイアウト変更の計画があるなら、そのような提案をしてみるのもよい。
 もちろん、テレワークを併用し、作業に集中したいときこそテレワークをするのもありだ。

 そういったスペースがなく、テレワークも活用できないのであれば、「今は作業に集中したいです」など、自分のモードを主張しよう。つねに対話や雑談に応じていては、自分の作業が進まなくなる。毎回応じる必要はない。正しく断る。その習慣も広めていきたい。

「今は作業集中モードなので、お昼過ぎに話しかけてもらえたら嬉しいです」

「まずこのメールを打ってしまいたいです。その後でいいですか?」

「明日は自分の作業に集中したいので、テレワークします」

 このように自分のモードを、まずはあなたが率先して発しよう。やがて「自分のモードを主張していいんだ」「勝ちパターンを追求していいんだ」といった空気が生まれる。
 フリーアドレスやテレワーク、フレックスタイム制など、個人に大きな裁量が任される仕事のやり方がうまく定着している組織を見ていると、日頃から個々が自分の「勝ちパターン」や「モード(そのときの心理状態や体調)」を認識して正しく主張している。

 逆を言えば、個々の状態の主張を遠慮する組織では、フリーアドレス、テレワーク、フレックスタイム制などのオープン型の働き方は定着しにくい。自分たちの「勝ちパターン」で心地よく成果を出す。そのためにも、正しく主張する習慣を身につけていきたい。

一歩踏みだす!

・気軽に会話や雑談できる空間をオフィスに設けてみる
・自分の「モード」を主張してみる
・会話モードと作業集中モードを切り替えてみる

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。