シャープのEVの「未来の競争相手」は
家電メーカーかもしれない

 さて、シャープの進化の方向についてはどうでしょう?

 実はEVの居住性についてはシャープが考えているように家電との親和性が非常に高いものがあります。日常的にEVを使う立場で、ガソリン車時代と違って便利になったのが乗る前にスマホでエアコンが始動できることです。そしてエアコンはシャープの主力取扱商品のひとつです。

 さらにテスラに搭載されている機能で意外と役立つのが、空気清浄機能です。うっかりひどい排ガスのトラックの後ろにつけてしまったときなど、素早く車内の空気を入れ替えることができます。実はこれもシャープの得意領域でしょう。

 シャープが目指すリビングの拡張というコンセプトをつきつめると、結局は家電と家具の搭載勝負になっていきます。

 駐車場で仕事をするだけでなく移動中にテレビを見ながらコーラとハンバーガーとポテトチップスで飲食をするシーンまでを考えると、冷蔵庫に加えて、軽く手を洗う水回りぐらいまでは欲しいところです。

 そうなると究極には、車のオーナー個々人の興味にあわせて必要な家電を車載する未来がやってきそうです。

 世の中の進化によっては、車も自宅のリビングと同じで、購入直後は空室の状態でよいわけです。結局のところ、シャープの未来の競争相手は既に競合している家電メーカーということになるかもしれません。

 さて、このようにシャープとソニーのEV参入について未来予測の視点で比較をしてみましたが、基本的には家電メーカーにもビジネスチャンスがあるという点は間違いないでしょう。

 懸念点はこの記事で述べさせていただきましたが、先行参入することでブランドを確立できるメリットは当然あるわけで、この後に参入してくる家電メーカーよりも戦いやすいことは事実でしょう。

 むしろEV計画を遅らせている日米欧の大手自動車メーカー各社の方が、ソニーとシャープの動きを脅威に感じるべきなのかもしれません。