ひとつは運転手を抱えている利用者です。これは企業のオーナーをイメージするとわかりやすいかもしれません。誰かに運転させて自分は車内で仕事をしたり映画をみたりするような利用者です。
ふたつめに考えられるのがタクシーの乗客で、これはひとつめの利用形態と似ています。
そして3つめは出かけた先の駐車場で停車中にリビングを利用するシーンです。キャンピングカーのベッドがないような利用イメージというとわかりやすいでしょうか?
営業マンが休憩したり、商談の合間に仮オフィスとしてパソコンに向かって見積書を作ったりリモート会議に出席するイメージです。
ただこの3つめの利用イメージだと、すでに商業用のワンボックスが似た使われ方をしています。そして実際のビジネスでの利用シーンでは営業なら荷台に大量の商品やサンプルが、工事関係者なら大量の機材が置かれるので、コンセプトカーのようにリビングでくつろぐ余裕はそれほどないかもしれません。
だとすればシャープの車の主たる用途は1と2の「誰かに運転させて自分はくつろぐ」という用途になるのでしょう。
これは市場の大きさとしては圧倒的に新興国や途上国向けです。なにしろ運転手の人件費が安いので、ちょっとした中小企業の経営者は、普通に運転手を雇えるわけです。
鴻海が考えるMIHのプラットフォームでは、いずれNVIDIAが供給する自動運転プラットフォームも搭載されることが視野に入っていると思われますが、その場合でも規制緩和の観点で真っ先に販売される市場はおそらく中国でしょう。
ちなみに、面白い予測があります。
先進国では今、いったんEVシフトの流れがスローダウンしています。もともと日本はEV化が遅れているのですが、欧米の推進派だった大手メーカーが計画を見直したりしているのです。
結果として2030年頃までの世界のEV需要を引っ張るのは中国とアジア、南米になるのではないかという予測があります。
だとすれば市場成長の恩恵にあずかるのは意外とソニーよりもシャープだということになるかもしれません。