南海トラフ巨大地震が起きたとき
日本海側をバックアップ拠点に

 日本海側の防災は近未来の日本全体の課題とも密接に関わっている。太平洋側は南海トラフ巨大地震、富士山噴火、首都直下地震という国家の存亡に瀕する危機を控えている。2035年プラスマイナス5年に発生が予想できる南海トラフ巨大地震、それによって誘発される富士山噴火、またいつ起きても不思議ではない首都直下地震で、いずれも太平洋側を襲う激甚災害である。

 太平洋側に比べると日本海側での防災意識は、これまで決して高くはない。2024年の能登半島地震はまさに不意を突かれた状況で、日本海側では太平洋側と性質が異なる災害状況になる事実を突き付けられた。

 今後は、日本海東縁ひずみ集中帯や、そこから内陸に延びる新潟―神戸ひずみ集中帯で起きる地震・津波に警戒し、太平洋側と同様の発生予測と防災対策に注力する必要がある。

 さらに南海トラフ巨大地震は太平洋側に壊滅的な被害をもたらすが、その救助とバックアップ地域として、日本海側の自治体が重要な拠点となる。この地域のインフラなどを早急に整備し、激甚災害の発生前に人や物や情報をできるだけ分散させておく必要がある。それが2030年以降に確実に起きる南海トラフ巨大地震、首都直下地震、富士山噴火がもたらす激甚災害を少しでも軽減する国家喫緊の政策になる。