そして能登半島の東側から北へ伸びて新潟・秋田・北海道沖を通る海底には、南北方向に断層や褶曲などの地殻変動を表す地形が確認されている。こうした地域は地殻に対して加わるストレスによって生じたので「日本海東縁ひずみ集中帯」と呼ばれている(下図)。

日本列島周辺のプレート境界と日本海東縁ひずみ集中帯で起きた主な地震の震源(Mはマグニチュード)日本列島周辺のプレート境界と日本海東縁ひずみ集中帯で起きた主な地震の震源(Mはマグニチュード) 同書より転載 拡大画像表示

予測不可能な日本海側
新潟―神戸ひずみ集中帯の危機

 日本海東縁ひずみ集中帯では過去に大きな地震とそれにともなう津波が発生した。具体的には1983年の日本海中部地震(M7.7)、1993年の北海道南西沖地震(M7.8)、2007年の新潟県中越沖地震(M6.8)などだが、いずれも大きな被害をもたらした。

 その活動は内陸にも及び、2004年の新潟県中越地震や2014年に長野県北部地震などの直下型地震を引き起こした原因と考えられている。こうした陸上にかかるひずみ集中帯は「新潟―神戸ひずみ集中帯」と呼ばれている。

 その中では過去に阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震、M7.3)、濃尾地震(M8.0)、新潟県中越地震(M6.8)が起きている。

 2つのひずみ集中帯が生じる原因の1つは、太平洋プレートが日本列島を絶えず押していることにある。汎地球測位システム(GPS)で観測された地殻の変動方向を見ると、ひずみ集中帯の領域でその方向が乱れているのがわかる(下図)。

日本海東縁ひずみ集中帯と新潟-神戸ひずみ集中帯で観測された地殻変動日本海東縁ひずみ集中帯と新潟-神戸ひずみ集中帯で観測された地殻変動 国土地理院のデータなどを基に朝日新聞が作製した図を筆者が一部改変したものを転載 拡大画像表示