近年の中国人による日本攻撃は看過できないものでした。6月には靖国神社に中国人が放尿した動画が物議を醸し、7月には同じく落書きが発見されました。中国国内では6月に蘇州で日本人親子を標的にした犯人が殺害を企て、中国人女性によって阻止されたものの、女性は死亡。8月には着物でコスプレをした中国人女性が逮捕された事件も起こりました。同じく8月には、北東部・吉林省の公園でアメリカ人の大学講師4人が刃物で刺され、負傷する事件もありました。そして今回の事件を受け、SNSには反日的な過激コメントが見られます(一部は削除と中国は主張)。
さらに国家単位で見ると、日米両政府がその時々に抗議しているにもかかわらず、8月には中国偵察機による領空侵犯、9月には空母が接続水域に出没するなど、国として反日ムードを盛り上げようとしていることは明らかです。
今の中国がやっていることは
かつての日本と同じではないか
私は反中主義者ではありません。しかし、あえて言わせてもらうと、今中国がやっていることは、過去の大日本帝国がやったことと同じではないでしょうか。かつて白人国家から受けた屈辱を、言論ではなく武力で仕返ししようとする心情が根底にあるように見えます。それが結局は夜郎自大な行動となって失敗するという経験を、同じアジア人として伝えるスタンスで中国に接すべきだと考えます。
作家の司馬遼太郎氏は、あの戦争について「日本の知識人に軍事的教養が一切なかったことが最大の敗因だ」と述べています。「世界最強の海軍、世界一の精神力を持った兵士」という宣伝に騙され、中国大陸のみならず、アジア全体を白人から解放できるという誤った軍事知識が世論を暴走させ、しまいには軍部自身も引っ込みがつかなくなりました。
冷静に考えれば世界相手に戦える戦力も国力もなかったのに、国民の意識だけ大国となり、あとから考えるとまったく客観的な自己認識に欠けた行動をとりました。皮肉なことに、今の中国も同じように思えるのです。
確かに現在、中国は歴史上初めて、軍事大国との地続きの紛争を抱えていません。インド、ロシア、トルコ、イラン、中央アジア、モンゴル、ウイグル、チベット、パキスタンなど、どの時代においてもどこかの国と紛争を抱えていたのに、今は太平洋側にしか紛争地域がないのです。軍隊という組織は仮想敵国を作らないと予算がもらえないので、中国軍はフィリピンや台湾、日本をライバル視し始めました。しかし、少し軍事に詳しければ、中国軍は日本どころか台湾にも上陸作戦を行う能力がないことは自明です。