相手にケガを負わせるほどではなくても、物を投げつける、机を強く叩くなどの威嚇行為、何度も小突く、足蹴りをする、胸ぐらをつかむ、タバコの火を近づける、などもパワハラ6類型のなかの身体的な攻撃に当たります。

 相手との関係性や状況にもよりますが、拳を振り上げて殴るふりをするとか、新聞紙を丸めたもので頭を軽く叩く、丸めた紙を投げる程度のことは、暴行には当たらないのが通常です。

 上司から部下に対する暴力があったとき、加害者が役職者など地位の高い人ほど責任は重く問われます。そして上司から部下、部下から上司いずれの場合も、反省や謝罪の姿勢がなく暴力を繰り返したり、被害者に重度のケガを負わせた場合は解雇される可能性もあります。

 刑法上も暴行罪(刑法第208条)が適用され、傷害が生じれば傷害罪(刑法第204条)に問われることになります。

「消えろ」や「無能」は論外!
上司いじめに繋がるNGワードとは?

 ある言動がパワハラか否かを線引きするポイントは、その「目的」です。

 人格攻撃は言葉の暴力――パワハラ6類型のうちの(2)脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言による精神的な攻撃です。

 具体的に上司いじめのシチュエーションでは、どんな言葉が該当するのか(あまり気が進みませんが)見てみましょう(【図1-5】)。

図1-5:NGワードの例同書より転載 拡大画像表示